物価高が続く中、14日は2025年初めての年金支給日だった。
支給額は少し増えているが、物価高で実質“目減り”していてなかなか楽にならない。
皆さんどのように使っているのか、“シニアの楽園”とも呼ばれる場所で取材した。
高島平駅改札横のATMには高齢者が長蛇の列
14日朝の東京・板橋区の都営地下鉄「高島平」駅改札横のATM(現金自動預払機)では、長蛇の列ができていた。

並んでいる人の中には、多くの高齢者の姿があった。

14日は、2025年初めての年金支給日。
各地を取材すると、笑顔のシニア層が…。
80代:
そうね、ちょっと懐はあれだよね、年金入るとね。
80代:
お金って、あればうれしいでしょ。
2カ月に一度の待望の年金支給日とあって、思わず頬も緩む。

取材班が向かったのは、高島平駅のすぐそばにある高島平団地。

イチゴを大事そうに持っていたおばあちゃんは、年金支給日の“自分へのごほうび”だと言う。
80代:
年金が出たので特別に買いました。498円かな。

団地内のコミュニティースペースを取材すると、友人とランチを食べながら会話を楽しむ高齢者がいた。
80代(年金支給月額約20万円):
今、年金を下ろしてきたから、お金が入ったから買ってきたの。上等のうどん、そうね800円ぐらいのもんじゃない。

年金を下ろして初めてのお買い物は、ランチの天ぷらうどん。

80代(年金支給月額約20万円):
うちは遺族年金と私で、ふた月分が入ってるから40万円。
年金支給日の今夜は、“女子会”があるのだとか。
80代(年金支給月額約20万円):
昔のね、あれだよ、ガールがそろうんだよ。女子会だから1杯飲んで、あとはみんなそれぞれ、天ぷら定食とか刺身定食とか。まあ1人2000円ぐらいじゃないかな。
「東洋一のマンモス団地」が“シニアの楽園”に
1972年に入居が始まり、当時は「東洋一のマンモス団地」と呼ばれた高島平団地。

総戸数は1万戸以上で、ピーク時の人口は6万人にものぼったこの団地も住民の高齢化が進んだが…。
80代:
定年して、それでここ(団地)に来て、お友達を探しに来たわけ。そうしたら、みんながお友達になって、それがすごく助かってる。
80代(年金支給月額約20万円):
買い物は(下に)降りれば、スーパーが2軒あるから、そこで済むから。

遠出をしなくても、団地内には必要な施設がそろい、同年代の住民が交流する施設があるため、高齢者が暮らしやすい環境に。
“シニアの楽園”とも呼ばれている。

団地内では、真剣な表情で健康マージャンにいそしむなど、団地生活を楽しんでいる高齢者の皆さん。
年金生活については…。
80代:
ふた月で60万ぐらいあるけど、税金を引かれて26万くらいかな。どうやって倹約するかっていうと、お野菜なんか食べられない。
実は、こうした施設で仲間たちと過ごすのが電気代の節約にもなり、一石二鳥なのだとか。

80代:
お昼こうやってよそへ来て、一日中、家のエアコン(の電源)を切ってるとか。みんなでこういうところで、1日ワイワイやってれば楽しいし。
太極拳教室に通う高齢者や“プチぜいたく”する人も
一方、千葉・松戸市の「快晴太極拳教室」では、音楽に合わせて元気に太極拳を行う多くの高齢者が…。

82歳:
主人と合わせてやっとだから、生活するのに。太極拳の方が下半身が安定するから、転ばなくなりますね。他人との交流があるからボケは遅くなりますよね。いや(月謝代が)安いって言われると…先生の顔見ちゃう。
高齢者の生活を支える年金支給額の中で、なんとか月謝代を捻出して頑張るとの声が聞かれた。

1月に厚生労働省は、2025年4月からの年金支給額を1.9%引き上げることを発表した。

国民年金の支給額は、月あたり1308円増えて6万9308円。
厚生年金は、40年間働いた会社員の夫と専業主婦の世帯のモデル年金のケースで、月額4412円増えて23万2784円になる。
支給額の引き上げは、3年連続だが…。
84歳:
ギリギリじゃないんだよ、足らないんだよね。働けないしさ、もうこの年でね。

年金だけでは、生活が厳しいとの声。
2024年の物価上昇率2.7%に比べて、年金支給額の引き上げ幅が低いため、実質的には目減りとなっている。

東京・巣鴨の商店街は、多くの人でにぎわっていて大盛況だった。
80代:
(年金)支給日ですよね。ちょっとぜいたくをしに、おいしいものを食べに。
年金支給日に、“自分へのごほうび”においしいものを食べるという人も。
80代:
きょうはミックスフライ4点盛りね。ちょっとビールを1本を半分ずつ。きょうは1人2000円くらいね。
ーー年金額っていくらぐらい?
80代:
1カ月20万、22万ぐらいかしらね。

昭和3年(1928年)創業という老舗の和菓子店「松月堂」にも続々とお客さんが。

72歳(年金支給月額約5万円):
豆大福とみたらし団子、おいしいので。750円。そんなにバカバカって買えるほど(じゃないけど)。つましくですね。
年金支給日のお楽しみ、和菓子にも値上げの波が。
原料の餅米の原価が4割ほどアップ。
さらに、あんこの原料の小豆も2割ほど上がり、利益が出ない厳しい状況だという。

東京・足立区のスーパーさんようでも、支給日のプチぜいたくを楽しむ人が。
女性たちが見せてくれたのは…。
60代:
桃の缶詰、あんまり買わないですよ。

80代(年金支給月額約6万円):
これ買った。好きだから、市田柿。これちょっとお高いけどね。600円ぐらいだと思ったな。
桃缶や干し柿などデザートに加え、中には、大好きな豚肉を買って焼き肉をするという人もいた。

80代:
きょうは奮発。普段こんなの買ってません。
物価高の中でも、笑顔がはじけた年金支給日。
次回は、新年度を迎えた4月15日だ。
(「イット!」2月14日放送より)