物価高騰が続く中、500円前後の価格で多くのおかずを味わえる新潟市の弁当店が人気を呼んでいる。その価格を可能にする背景には、学校給食の存在があった。格安弁当の裏側を取材した。
500円弁当 “学校給食”の食材がおかずに!?
新潟市東区の弁当店『和縁+PLUS』。
お弁当には、メインのサバのほかに8種類のお総菜が入って572円。同じサバの弁当で少し小さなものが421円。

こうした500円前後のうれしい価格帯の弁当がズラリと並んでいた。この内容と価格を可能にする背景にあるのは、学校給食の存在だ。
給材の宮崎伸洋代表取締役が「うちの会社は昭和43年に私の父が始めた。学校給食用の食材を取り扱う会社」と話す通り、会社の本業である学校給食の食材が弁当に使用されている。

この日、並んでいたお弁当の中では、サバの切り身や春巻きが学校給食のおかずと共通していた。
給食⇒弁当で“フードロス削減”に!
給食食材が弁当に姿を変えた背景には、給食ならではのある事情があった。
例えばハンバーグの場合、100個入り1箱で仮に550人の学校であれば、600個仕入れて550個届ける。そうすると50個残ってしまう。

端数となった食材は時に行き場を失い、年間で2t近く処分することもあったというが、「現在、廃棄するのは半分以下。多分7割くらいは削減できていると思う」という。
このお弁当をめがけて来店する常連客は「お腹いっぱい、温かい弁当が食べられるので魅力的」「金額も安くて、よく使わせてもらっている」などの声が聞かれた。
給食の厳しい現状…食材高騰も給食費の値上げ追いつかず
給食食材を使ったお弁当が財布の負担を軽減する一方で、学校給食は、いま難しい局面を迎えている。
宮崎代表は「ここは学校給食で普段から使われている調味料・乾物・缶詰。ほぼ全部価格が高騰している」と話す。

シイタケやキクラゲなどの乾物は数年前に比べ倍、ミカンの缶詰は1.5倍など仕入れる食材は高騰を続けているが、価格転嫁は容易ではない。
新潟市は2024年度、給食1食分の費用の目安を小学校で322円、中学校で389円と算定。
2023年度の食材費を考慮して8円値上げしているが、「現状の学校給食費も今値上げとか話しも聞くが、なかなか現状の物価高に対して給食費の値上げは追いついていない」と現状を吐露する。

それでも、給食が子どもたちを育んでいるというプライドが現場を支えていると宮崎代表は話す。
「最低限のレベルとして安心と安全おいしさも当然だし、あとは、可能な限り地産地消したい」
あらがうことができない物価の高騰に直面しながらも、安全で安心な“食”を給食で、お弁当で届け続ける。
(NST新潟総合テレビ)