“住民の笑顔”を繋ぐ祭りが今年も

被災3県の今を伝えるシリーズ「明日への羅針盤」。テーマは「被災地のまつり」。
震災・原発事故、そして新型コロナ。度重なる困難を乗り越え、今年も福島県川内村では“住民の笑顔”を繋ぐ祭りが行われた。

原発事故と避難を乗り越え、続く福島県川内村の「盆踊り」。開催か、中止か。実行委員会の会長の秋元活廣さんに迷いはなかった。

川内村BON DANCE実行委員会 秋元活廣さん:
これから始まるぞという感じ

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川内村 遠藤雄幸村長:(2012年1月31日 帰村宣言)
多くの方々への感謝の気持ちを忘れることなく試練を乗り越えていく覚悟です。ともに凛としてたおやかで安全な村をつくってまいりましょう

原発事故によって一時全ての住民が避難した川内村。避難指示が解除された後、一早く役場や学校などを再開させ、2020年8月時点では約8割の住民が村に帰り生活している。

避難先、そして村に暮らす住民も。
これまで年に一度集まり交流を深めてきたのが、恒例の“盆踊り”だった。

川内村BON DANCE実行委員会 秋元活廣さん:
笑顔を繋ぐ、そういう盆踊りにしたいです

しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染が全国で拡大。お盆に合わせ予定していた村の行事も相次いで中止となった。それでも秋元さんは住民が集う盆踊りだけは守ろうと決めた。

川内村BON DANCE実行委員会 秋元活廣さん:
色々な意見があるので、こんな中やる必要があるのかという意見もありますけど、私たちも小さい頃から子どもの頃から地域の大人がやってもらって楽しかったイメージがあるので、それを今の子ども達につないでいくというか。その子供たちが未来の子供たちにつないで、繋がるというか繋げるという感じですかね

盆踊り当日、入場の際は検温と消毒を呼び掛け、ソーシャルディスタンスを保つなど感染症対策に細心の注意を払った。
会場には盆踊りを待ち望んでいた子どもたち、そして多くの住民の姿があった。

訪れた人:
すごく楽しみにしていたので、みんなで楽しく過ごしたい

訪れた人:
コロナもあって心配したが、こういう催しがあって、皆さんが楽しんでいるのは最高だと思う

川内村 遠藤雄幸村長:
震災、原発事故があったり、台風で痛めつけられたり、そして今回コロナ。またかという気持ちが蔓延している中で、少しでも刺激になって、また頑張ろうという気持ちになってくれればいいなと思う

沈む陽が盆踊りの合図。福島県外から帰省した人などには来場の自粛が呼び掛けられたが、今年も住民の心を一つにした。

川内村BON DANCE実行委員会 秋元活廣さん:
帰ってこれる場所があるというか、お盆だから川内に行こう、帰ろうと思ってくれれば、それでいい。来年はもう縛りがなく、みんなで久しぶりだなって言えるといいですね

東日本大震災と原発事故、そして新型コロナウイルス。困難を乗り越え住民を繋ぐ川内村の盆踊りはこれからも続いていく。

(福島テレビ)

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