まもなく2025年のバレンタインデーがやってくる。デパートなどには特設コーナーが設けられていて、連日多くの人で賑わっている。こうした中、長年、地元の人たちに愛されたチョコレート専門店が3月に閉店することを決めた。夫婦二人三脚で22年、惜しまれつつ「最後のバレンタインデー」を迎える店主の思いを取材した。
老舗洋菓子店で生まれ育った店主が 本場・ヨーロッパの味に魅せられチョコレート専門店をオープン

大分県大分市今津留のチョコレート専門店「ボンショコラリウ」。商品は全て店主の大沢利夫さん(77)の手作りである。
市内の老舗洋菓子店で生まれ育った大沢さんは自身もお菓子作りの道へ。店を開いた理由について「チョコレートはすごく好きなので、 チョコレート専門店だったらやってもいいかなと」と大沢さんは語る。

チョコレートの本場・ヨーロッパの味に魅せられ、その味を大分の人たちに伝えようを55歳の時に店を開いた。

ーーボンショコラリウ店主・大沢利夫さん
「ほとんど価格は変えていない。大分の人に本当のおいしいチョコレートを食べてもらうというのが基本だった」
「気軽に食べてもらいたい」という思いから、ほとんど値上げをせずに続けてきたが…
大沢さんの妻・宇佐恵さん(73)とともに22年、ほとんど値上げはせずに店を続けてきたという。しかし、ここにも物価高の影響が…。
妻・宇佐恵さんは「チョコレート店をはじめる時に、みなさんに気軽に食べてもらいたいと思って始めた。今のようにチョコレートの価格が上がってくると、どうしても値上げせざるを得ない状況になってきた。主人の年齢も考えたら潮時かなと…」こうした理由で3月での閉店を決断したという。

ここ数年の原材料費の高騰が著しく、今の価格での商品の提供が難しくなり、自分たちの年齢も考慮して決めたという。
妻「主人には感謝しかない」夫「女房がいなかったらできていない」互いに感謝語る
もうすぐ食べられなくなるチョコレートを求めて、店には連日、多くのお客さんが訪れている。
店主の大沢さんは「いっぱい来てくれているので、 なるべく皆さんに提供できるように一生懸命作っている」と話す。

妻の宇佐恵さんは、夫婦二人三脚で励んだ日々を振り返り「主人のチョコレートが皆さんの中に残っていくということで、この22年が有意義だったと思う。楽しかった。主人のおかげで一緒にお店をすることができて、いろんな人と話もできた。主人には感謝しかない」と語った。
また、店主・大沢さんも「女房がすごく頑張ってくれたので、私は奥で作るだけ。もう女房がいなかったらここの店はできていない」と妻・宇佐恵さんへの感謝を述べた。

長年夫婦で、たくさんの人を幸せにしてきた「ボンショコラリウ」は来週、最後のバレンタインデーを迎え、3月9日、その歴史に幕を閉じる。
(テレビ大分)