小学生のころ、「社会科見学」でごみ処理施設を訪れた経験がある人も多いことだろう。鳥取市にあるごみ処理施設は、予約が1カ月待ちになることもあるという人気スポットになっている。見学者を引き付ける、人気の理由を取材した。
社会科見学の予約“1カ月待ち”も
見学に訪れた子どもたちが歓声を上げる。その視線の先では、大量のごみが、まるでクレーンゲームのようにつり上げられていた。

鳥取市河原町にあるごみ処理施設「リンピアいなば」では、鳥取市を含む県東部地区の家庭や事業所から出た燃えるごみを処理している。
「リンピアいなば」の岸上健太所長が「1カ月後くらいまで見学の予約で埋まっているような状況だった」と説明するように、小中学生の社会科見学の行き先として想定以上の人気を集め、ピーク時には予約が1カ月待ちになったという。

「リンピアいなば」は、以前のごみ処理施設の老朽化に伴って鳥取市など県東部の1市4町でつくる東部広域行政管理組合が建設し、2023年4月、本格稼働を始めた。
あわせて地域住民に環境問題への意識を高めてもらおうと、施設では、計画段階から小学生などの見学の受け入れを想定し、設備にも様々な工夫が凝らされていた。
「ガラス張り」で工程が丸見えに
その1つが、ガラス張りの見学者用通路だ。搬入されたごみが処理される工程を見ることができる。

1日200トンのごみが投入される「プラットホーム」や、ごみを貯留する深さ約17メートルの「ごみピット」などの設備は、間近で見ると迫力満点だ。
この日、見学に訪れていた小学生たちも「ごみの量がすごいね」「すべてが大きい」と、施設の大きさに驚いた様子だ。

「クレーンがすごい量を持ち上げているし、ごみが多くて(ピットの)底が見えないから、すごい量があるんだな」と話す児童もいて、ごみの量の多さに気付いたようだ。
さらに、見学の子どもたちを夢中にさせているのが、宇宙船を操作してごみを回収するゲーム。

展示にも子ども心をくすぐる工夫を凝らし、施設の役割やごみ処理の流れ、そして、環境問題について楽しみながら学ぶことができる。
引率した先生も「教科書で勉強するよりも、実際に自分で見て、触れて、感じてというのはとても大事で、確かな知識になっていくのではないか」と話し、見学の成果に期待した。
大人の学びの場にも 見学者想定超え
小中学生の社会科見学の他にも、公民館や老人会など一般の見学も受け入れ、生涯学習の場としても利用されているという。

当初の想定を上回り、受け入れた見学者はこれまでに5000人を超えた。

岸上所長も、ごみ処理施設は「必ず生活に必要な施設でありながら、なかなか身近に感じられない部分もある。最新の技術でできている施設なので、(見学して)環境のことに興味を持っていただければ」と話す。
「リンピアいなば」の楽しみながら学べる見学コースは、地球温暖化など環境問題を子どもたちが身近に感じるきっかけにもなりそうだ。
(TSKさんいん中央テレビ)