コロナ禍の「岩手物産展」…名古屋開催への特別な思い

コロナ禍の中で物産展を開催するにはやはり苦労がある。それでも「あえて名古屋で」と出店を決めた背景には名古屋への特別な思いがあったという。

ウニやイクラなど、三陸の新鮮な海の幸を豪快に載せた「三陸弁当」。

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「短角和牛」など、岩手が誇るブランド和牛の「食べ比べ弁当」。

さらに「ヤギミルクソフトクリーム」など、できたてを味わえる絶品スイーツとご当地の魅力がギュッと詰まった「岩手県の観光と物産展」。

名古屋市の栄地区で45年も開催されてきた、歴史ある物産展だ。

2020年は、これまでとは状況が一変していた。

開催前日の9月1日。段ボールが次々運びこまれ、陳列作業も順調に進んでいく。フロアには人気グルメや特産品が並ぶが、どこかいつもの物産展とは違う雰囲気。
それは…

名鉄百貨店のバイヤー:
会場全体の広さも広くとっています。昨年に比べまして、130%ほど広くとっています

前回の物産展の映像を確認すると、人気のイベントとあって通路がどうしても「密」の状態に。

バイヤー:
通常の物産展ですと180センチの通路幅がありますけど、今回は最大で270センチ通路幅をとっています

コロナ対策で通路の幅を広げ、さらに消毒液も至る所に配置した。ところが…

岩手県商工労働観光部の担当者:
最初は、43事業者さんが出店したいと申し込みいただいたんですけど、今回はコロナ禍の中で出店を見合わせた事業者様がいて

感染者ゼロが最後まで続いた岩手県。愛知県への出張に伴う感染リスクを懸念し、4店舗から辞退の申し出があったという。

しかし、それでも開催を決めた理由は…

「頑張っている岩手を見てもらいたい」…震災を通じて深めた姉妹都市の絆

岩手県の担当者:
東日本大震災の際に、岩手県は大きな被害を受けました。その際に名古屋市や愛知県庁の職員に多くの支援をいただきました

陸前高田市と友好都市の名古屋市。職員の派遣は、東日本大震災の1か月後から10年後の今に至るまでずっと続いている。

岩手県の担当者:
今でも、名古屋市と愛知県の方々と交流もございますし、そういった方々に岩手の今の状況を知っていただきたい。頑張っている事業者の姿も見ていただきたい

名古屋の人たちに、頑張っている岩手を見てもらいたいという思い。
出店を決めたわらびもちの店も…

工藤菓子店の担当者:
名古屋にお世話になっているので、ちょっと頑張ってこようかなと。うちのお菓子食べて元気になってもらいたいなと思っています

そんな今回の物産展、特に力を入れたというのが、わらびもちの「工藤菓子店」。

工藤菓子店の担当者:
試食が今回できないので、商品がよく見えるようにディスプレイとか工夫してやろうかなと思っていました。今回のために奮発して作りました

コロナ対策で試食が中止になった代わりに、ポスターや商品のポップなど、皆で工夫を凝らした。

岩手県の担当者:
(店の人に…)「食べてみてください」とは言えないので、やっぱり見ていただいて並べてみたりして、目を引かないと、ここで立ち止まってもらうようにしないと

出店者の男性:
確かにそれはありますね

岩手県の担当者:
お客さんって、チラシ見ながらくるので、チラシに載っている商品の写真があると「これですよ」って

さらに、ディスプレイだけでなく他にも秘策があった。イカ焼き店では…

平野屋の担当者:
続けて焼くと、売り場に匂いがね(漂うので)。うちのアピールというか、存在感になるので

嗅覚へ訴える作戦だ。イカの焼けるにおいを漂わせるため、順番に少しずつ焼き、においを絶やさないよう工夫をこらした。

見た目とアイデアで名古屋のお客さんを喜ばせたい…

岩手県の担当者:
今度は、岩手県の方から名古屋の方々に恩返しをさせていただきたいと思っています。岩手のおいしいもの、素晴らしい工芸品を、こちらの地域の方々に買っていただいて楽しんでいただきたい。この(名古屋との)絆は永遠に続くものと思っています

(東海テレビ)

東海テレビ
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