38年前の1986年、福井市で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、殺人罪で服役後に再審が決定した前川彰司さん(59)が、再審で無罪が確定した静岡県の袴田さん宅を訪れた。

自宅前で前川彰司さんを出迎えた袴田ひで子さん
自宅前で前川彰司さんを出迎えた袴田ひで子さん
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自宅前で前川さんを笑顔で出迎えたのは、袴田巌さんの姉・ひで子さん(91)。2人はこれまでも支援団体の集会などで交流し、互いに励まし合ってきた仲だ。

前川さんの再審へ、ひで子さんが激励

袴田さんは、59年前に起きた静岡県の一家4人殺人事件で死刑判決を受け、姉のひで子さんが中心となって再審請求を行い、2014年に釈放。2024年9月26日、静岡地裁は再審無罪判決を言い渡し、検察官が上訴権を放棄したことで、袴田さんの無罪が確定した。

前川さんは「ひで子さんがおっしゃっていた『袴田だけが勝てばいいとは思っていない』という言葉を胸の中に留めて、僕もいま歩んでいいます」と語り掛けると、ひで子さんは大きくうなずいた。

この日、ひで子さんは「久しぶりに会えて嬉しかった」と、巌さんが被っていた青い帽子を前川さんにプレゼント。再審公判に向けて激励した。

袴田さんの無罪報告会で登壇

翌25日、袴田さんの無罪報告集会に招かれた前川さんは、巌さんの帽子を被り支援者たちの前に立った。

袴田巌さんの帽子を被る前川さん
袴田巌さんの帽子を被る前川さん

前川さんは「冤罪は無罪になれば終わるかというと必ずしもそうではない。1回疑われたら終生、十字架は背負わなければならない」と冤罪の恐怖を訴えた一方、「絶望の向こう側に、希望の光が少なからず灯っている」と、再審に向けた前向きな気持ちも語った。

袴田さんの支援者を前に語る前川さん
袴田さんの支援者を前に語る前川さん

また「これまで再審請求がなかなか認められず諦めそうになったが、袴田さんの支援者から受けた励ましのおかげで、ここまで活動を続けてこらえた」と支援への感謝の言葉を口にした。

集会後、支援者の1人から「目の輝きが前と全然違う」と声を掛けられた前川さん。「この先もっと良くなる。そうでなければ希望が持てない」と返すと、「ひとりぼっちではないからね」と励まされる場面もあった。

前川さんは「袴田事件が与えた影響は計り知れない。再審に勝利している先達がいるというのは、すごい希望。僕もついていかなければならない」と力を込めた。

前川さんの再審は3月に開かれ、即日結審する。

福井テレビ
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