南海トラフ地震を想定した大規模な訓練「南海レスキュー」。この「南海レスキュー」に参加しているのが、海上自衛隊の輸送艦「くにさき」だ。今回、この輸送艦の内部を、高知さんさんテレビの田村優介アナウンサーが泊りがけで取材した。
海からそのまま上陸可能「LCAC」
南海トラフ地震を想定した大規模な訓練「南海レスキュー」。陸路での救助活動が困難となった能登半島地震の教訓を踏まえ、孤立地域での初動対応に焦点をあてている。

そこで役に立つのが、ホーバークラフトの一種・通称「LCAC(エルキャック)」だ。大量の空気を海面に噴出させながら浮上して進み、港が使えなくても上陸できる。このLCACの拠点となっているのが、輸送艦「くにさき」だ。

この輸送艦「くにさき」に田村優介アナウンサーが乗艦。「行ってまいります!」と敬礼し向かった。高知・東洋町の生見海岸から沖合を航行している「くにさき」へは、LCACで向う。

田村優介アナウンサー:
まもなく発車です。すごい浮いています。そして今、海へと入りました。なんか不思議な感覚です。時折大きく上下に揺れていますが、思った以上にそこまで激しい揺れではありません。
輸送艦「くにさき」に田村アナが乗艦!
そして「くにさき」に近づくと、「目の前に『くにさき』が見えてきました。とても大きいです」と興奮気味に説明する。

午後5時、海岸を出発して待機時間も含め約2時間。なんとLCACに乗ったまま乗艦した。

輸送艦「くにさき」は海上自衛隊が保有する艦船の1つ。全長178メートルの135人乗り。硫黄島や父島に駐留する自衛隊員への物資の輸送のほか、災害派遣などで活躍をしている。2024年に発生した能登半島地震では、同型の輸送艦が、道路を復旧させる重機や支援物資を運んだ。

田村アナが乗艦した頃、艦内では隊員たちが食堂で食事をとっていた。料理は全て艦内で調理されたもので、この日の献立は、魚のムニエルにミートソースのスパゲティ、ロールキャベツのカレー煮などだ。
「とても船の上で作られたとは思えないぐらいのクオリティです。これで体力も付きますね」と田村アナも舌鼓を打つ。

午後9時半、「くにさき」の後ろの部分のLCACを2隻収容している場所では、隊員が念入りに整備をしていた。

LCAC1隻の全長は28メートル。1隻で最大約200人を輸送することも可能。このほか隊員や被災者の治療で使われる医務室や、長いときには任務が半年にも及ぶことから歯科診療室まで備えている。
宿毛市出身の北小路佳史さん(36)は、高校卒業後、自衛隊に入隊。今は、無線の設定などを行う通信員だ。

海上自衛隊輸送艦「くにさき」・北小路佳史通信員:
起こってほしくはないですが、南海トラフ地震など大規模災害が起こった際は、少しでも多くの人を助けられるように自身の技術を磨いていきたいと考えています。
大規模災害で頼もしい存在に
午後10時。田村アナも、消灯の時間に合わせて、隊員が使っているベッドで一夜を過ごした。

翌日午前6時。準備を整えて、再びLCACに乗って訓練へ。
砂浜に上陸し、道路を復旧させるための重機や通信インフラを回復させるための車両を降ろした。

海上自衛隊 輸送艦「くにさき」艦長・鈴木隆弘2等海佐:
LCACを使用して、他の船舶が着岸できない場所にも輸送が可能であります。その特性を最大限に活用し、南海トラフ巨大地震が起こった場合に少しでも多くの方を助けられる準備をしたいと思っております。
365日・24時間体制で有事に備える海上自衛隊の輸送艦。近年、頻発する大規模災害で頼もしい存在となっている。
(高知さんさんテレビ)