大阪・関西万博の開幕まで3カ月を切った。万博会場の玄関口となる夢洲駅が開業。

海外パビリオンの建設も急ピッチで進んでいる。中でもチェコパビリオンは、独創的なデザインゆえの困難を乗り越え、日本との協力で完成に向かっている。
万博成功への期待が高まる一方で、課題も残されている
■【動画で見る】万博開幕にパビリオン合う? 独創的「チェコ」パビリオンは完成に向け前進
■近未来的な空間が広がる夢洲駅、万博の玄関口に

19日、大阪メトロ中央線の新駅「夢洲駅」が開業した。
これまでの終点「コスモスクエア駅」からおよそ3キロ延伸し、万博会場に直結する玄関口となる駅の誕生だ。

夢洲駅の内部は、近未来的な空間が広がっている。改札機は16台設置され、1日最大13万人の利用者に対応できる。
コンコースは柱がなく開放的で、地面に埋め込まれたライトや折り紙をイメージした天井のデザインが、和の雰囲気を醸し出している。

混雑対策も万全だ。ホームへ続くエスカレーターにはLEDライトで立ち位置が示され、2列で立ち止まるよう誘導されている。
また、世界各国からの来場者に対応するため、大阪メトロで初めてオールジェンダートイレが導入された。

大阪メトロ 河井英明社長:万博を意識した駅ですので、最新技術もさることながら、わくわく感をうまく醸成するように作った。
■チェコパビリオン、独創的デザインゆえの苦難を乗り越え

一方、万博会場では海外パビリオンの建設が進んでいる。
一時は、建設の遅れが懸念されているものもあり、その1つが「チェコパビリオン」だ。
伝統的なボヘミアンガラスを螺旋状に張り巡らせた独創的なデザインは、耐震性などに厳しい日本の建築基準をクリアするのに難航した。
チェコパビリオン オンドジェイ・ソシュカ政府代表:チェコパビリオンは構造的に非常に革新的なので、必要な建設許可をすべて得るのに時間がかかります。
建設許可の取得に8ヶ月もの時間を要し、2024年4月にようやく大阪の建設会社「大末建設」と契約を結ぶことができた。残された時間はわずか1年。
開幕に間に合わせるため、チームは秘策を打ち出した。
木材やガラスなど、資材のほとんどをチェコから運び、チェコの職人にも現場に入ってもらうことにしたのだ。
チェコから運んだ1枚およそ700キロもある特注のガラスを、クレーンを使って1枚ずつ慎重に取り付けていった。
大末建設の作業員:割れちゃうと予備がないので、チェコで作って2カ月くらいかけて到着してるので、取り付けてからも絶対に割ってはいけない。
およそ2カ月かけて、のべ1000人のチェコの職人と日本の職人が協力して工事に携わり、無事220枚のガラスの取り付けが完了した。
■「飛び降りてよかった」 日本とチェコの絆、万博を通じて深まる

2024年12月、チェコの職人と大末建設の社員は、ガラスの工事がほぼ完成したことを祝って打ち上げを開いた。
チェコの建設会社の社員:素晴らしい建物を建てる努力をした作業員を、今この瞬間とても誇りに思います。
(Q.「清水の舞台から飛び降りた」と言っていたが?)
大末建設 村尾和則社長:飛び降りてよかったと思います。チェコの業者さん、職人さん方も素晴らしい技量をお持ちだし、1ミリ、2ミリにこだわってしっかり仕事をされるので、そのおかげで順調に逆に前倒しに進んだのはチェコのおかげかなと。
チェコパビリオンは予定より前倒しで1月上旬に外観が完成し、その内部が初めて公開された。
高さ約12メートルの屋上からは、万博のシンボルである大屋根リングや、他の海外パビリオンを一望できる絶景スポットとなっている。
■他の海外パビリオン、進捗にばらつき

チェコパビリオンのように外観がほぼ完成している国は多数見受けられるが、進捗にはばらつきがある。
例えば、マルタのパビリオンは2024年12月に着工したばかりで、まだ建物の骨組みができているだけの状態だ。
マルタの担当者は「パビリオン自体は簡易的な構造なので、1、2カ月あれば完成するので、心配ない」と話しているが、万博まで3カ月を切った今、余談は許されない状況だ。
■万博成功への期待と課題

いよいよ大阪・関西万博の開幕が近づいている。
夢洲駅の開業やチェコパビリオンの完成など、着実に準備が進む一方で、チケットの販売や予約手続きの複雑さなど、課題も残されている。

万博を通じて生まれた日本とチェコの絆のように、この万博が世界中の人々をつなぐ架け橋となることが期待される。
開幕まで残り3カ月、万博の成功に向けて関係者の奮闘が続く。
(関西テレビ「newsランナー」2025年1月20日放送)