尹大統領の与党への支持率がV字回復

尹錫悦大統領
自由な憲法秩序を守るために「非常戒厳」を宣布します

去年12月、突如「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領。

この記事の画像(17枚)

本来、戦争など有事の際、軍が国を統制するために出されるこの宣言に、韓国国内は大混乱に陥った。

与党「国民の力」の支持率は下降し、逆に最大野党「共に民主党」は上昇。弾劾訴追案が可決された際には、与党の支持率が24%まで落ち込み、48%に伸ばした野党とはダブルスコアの大差となった。

だがこの後、与党の支持率はなぜかV字回復。非常戒厳から45日後の17日には、39%まで上昇し、36%の野党を逆転した。

「Mr.サンデー」ディレクター:(18日)
こちらは全国から集まった(与党の)保守系の人たちの集会が開かれています。

会場には「尹錫悦大統領万歳!万歳!」のシュプレヒコールが響き渡る。

逮捕された尹大統領率いる与党の支持率は、なぜ急上昇しているのか?

Mr.サンデーは、揺れる韓国を緊急取材した。

集会に参加していた一人は、元々は最大野党「共に民主党」寄りだったが「与党支持」に転向したと言う。

与党支持に転向した飲食店経営者(49):
私は今回、完全に与党を支持することに決めました。

心変わりしたワケを聞くと…

飲食店経営者(49):
いま最大野党が尹大統領を追い出そうとしている状況です。捜査権のない機関が強制捜査をしたり強制的に拘束した。これに対して怒りを覚え、目を覚ました人が多いと思います。

韓国メディアによると、非常戒厳の後、尹大統領が役職停止に追い込まれると、野党はここぞとばかりに、与党の高官たちに対して次々と7件もの弾劾訴追案を提出。

こうした強引な姿勢を強める野党への不信感から、与党支持へ回る人は少なくないという。

1月19日で非常戒厳から47日、時間の経過と共に広がる政治的停滞への不安。

さらに、野党への不満となっているのが…18日、与党側のデモで掲げられたプラカードに表れていた。

「非常戒厳の本質は不正選挙だ」

また、支持政党なしから与党支持に転向した人に話を聞くと…

与党支持に転向した会社員男性(32):
不正選挙をしていた疑惑をYouTubeなどで見ました。

与党支持者が発信する不正選挙疑惑

彼らが見たというのは、与党支持者のYouTuberが発信している野党の不正選挙疑惑。

去年の総選挙で108議席の与党に対し、175議席と圧勝した最大野党「共に民主党」。

その背景には「中国や北朝鮮が選挙管理委員会にハッキングする試みがあった」と尹大統領側が公言したことで疑惑が拡散。

これを信じた人たちが、与党支持に回るケースも多いという。

飲食店経営者(49)
正直言って、今の状況はめちゃくちゃです。最大野党によって北朝鮮や中国に追従するか、民主勢力が残るか、分岐点に立たされていると思います。

一方、最大野党の議員に話を聞くと…

最大野党「共に民主党」カン・ソンウ議員
不正選挙に関する陰謀論については、こうしたフェイクニュースに惑わされる国民がむしろ被害者だと考えます。これを生産し、流通させる側に対しては、断固とした措置が必要です。

あくまでフェイクだと断罪。

尹大統領を死守する「白骨団」の登場

それでも、YouTubeなどを介した疑惑の拡大は、大きな動きを生んでいる。

韓国MBCキャスター
裁判所が拘束令状を出した後も、尹錫悦大統領を守るとして熱烈な支持者たちが死守隊まで組織しました。

韓国MBC記者
白いヘルメットを被った、がっしりとした男性数十人が立ち並んでいます。30年を経て、再び現れた“白骨団”は「尹大統領を逮捕すれば、内戦に広がる恐れがある」と威嚇しました。

韓国国会で会見する白骨団
韓国国会で会見する白骨団

尹大統領を守るためデモ隊の中から組織された白いヘルメットの集団。野党の不正選挙疑惑を信じ、国を守ろうと、参加する人もいるという。

韓国報道で「白骨団」と紹介された集団のネーミングには、かつて韓国国内で起きた過激な戦いの歴史があった。

かつて軍事政権時代に「白骨団」は、民主化運動のデモ隊を鎮圧するなど人々に恐れられた存在だった。

「白骨団」の団長に取材

現在の「白骨団」は当時の組織と無関係だが、その団長を取材すると尹大統領について。こう語った。

反共青年団「白骨団」キム・ジョンヒョン団長
私たちは、中国共産党が韓国の政治家を買収し、韓国の選挙に介入したと見ています。そんな中で、尹大統領は国民のために、非常戒厳宣言というとてもリスクのある決断をしました。国民のため、自らの安全を犠牲にした尹大統領は立派です。

19日逮捕された尹大統領。深まる分断と政治的混乱は、いつ収束するのだろうか…

(「Mr.サンデー」1月19日放送より)