長野県のガソリン価格が22週連続で全国最高値を記録し、県民の家計を直撃している。1月14日時点でレギュラーガソリン価格は190.6円と、全国平均より約10円高く、隣県の愛知県より15円以上高い。特に木曽地域では価格が高く、隣接する岐阜県との価格差が1リットルあたり15円にもなっている。この状況を受けて、県をまたいで給油する「越県給油」の動きが活発化している。さらに、1月16日から政府の補助金が縮小されるため、再び5円程度の値上げが予想されており、県民の不安が高まっている。
「日本一高い」と嘆く声
長野市のガソリンスタンドでは、値上げ前の「駆け込み給油」が見られた。ある客は「日本一(高い)ですよね、きついです、すごくきついです」と嘆き、「毎日使うものだからガソリンはほかのもので削っていかないとと思います」と家計への影響を語った。

長野県のレギュラーガソリン価格は190.6円、全国平均に比べ約10円高く、22週連続で全国最高値となっている。隣県と比べると、愛知県より15円以上高くなっている。
ガソリン価格の高騰。12月19日に政府の補助金が縮小され、1リットルあたり5円程度の値上げされた。

1月16日、さらに補助金が縮小され、これに伴い16日以降、再び5円程度の値上げが予想されている。
木曽地域と岐阜県で15円差
長野県内で平均価格が特に高いのが木曽地域だ。中山間地で販売量が少なく、経営維持のために価格を上げているのが主な要因とみられ、隣接する岐阜県の平均価格と比べると1リットルあたり15円ほどの差がある。
木曽地域では、多くのスタンドがレギュラー1リットルあたり190円台後半で販売している

一方、隣接する岐阜県中津川市では180円台が多く、中には170円台の表示も見られた。
県境から10キロほどの場所にあるガソリンスタンドでは、レギュラー1リットルあたり181円で販売しており、木曽地域の平均と比べると1リットルあたり14円の差がある。
「越県給油」で420円節約も
価格差を受けて、「松本ナンバー」の車が岐阜県のガソリンスタンドに続々と訪れる「越県給油」の現象が起きている。
南木曽町から来た60代の男性は「木曽は高いので、入れたくないです。やっぱり安い方がいいですね」と話し、70代の女性も「こっちに来るついでに、いつも寄っています。わざわざ見える人もいますよたくさん」と語った。

仮に30リットルを入れた場合、420円もの差額が生じる計算だ。新栄石油SS課長の後藤慎平さんは「もちろん地元住民の方々がほとんどにはなるんですけど、長野県から来られるお客さんも多くいらっしゃいますし、やっぱり安いという風に、おっしゃっておりまして」と状況を説明した。
レギュラーの店頭価格が全国で最も高い長野県。「越県給油」の動きは新潟県境など他の地域でも以前から見られ、価格高騰で家計の負担が増える中、依然として続いている。
複雑な思いのスタンド側
今後も値上げ予想されるガソリン価格。中津川のガソリンスタンドからすると、県境での価格差によって来客に繋がっている側面はあるが、店の人は複雑な心境だ。
後藤さんは「コスト的に上がってきているので、値段の転換しないとガソリンスタンドとしても維持が出来ないのかなと思います」と経営の難しさを語りつつ、「何かあった時に頼りになるのが、ガソリンスタンドだと思っていますので、もちろん長野県内で給油していただいて、インフラの拠点としての維持をしていただくことも重要だと私は思っています」と地域のインフラ維持の重要性を訴えた。

長野県は1月16日、石油商業組合と意見交換して高値の要因の分析を行い、支援策や国への要望などに生かしたいとしている。
【レギュラーガソリン平均価格(円/リットル)】1月14日時点
愛知県 174.7円
埼玉県 176.8円
新潟県 178.4円
山梨県 179.6円
岐阜県 180.8円
群馬県 181.1円
富山県 181.1円
静岡県 181.5円
長野県 190.6円
全国平均 180.7円
(長野放送)