長野県千曲市の戸倉上山田温泉で、50年ほど前に撮影された芸者たちの写真を再現する取り組みが行われた。かつて400人以上いた芸者が20人ほどに減少する中、温泉街の活性化と芸者文化の復興を目指し、観光客や現役の芸者など約100人が着物姿で橋の上に並んだ。地元観光局は、この取り組みをインバウンド向けのPRなどに活用し、温泉街の魅力を発信する方針である。
「芸者400人」の面影よみがえる
1月12日、千曲市の万葉橋に着物姿の人々が集まり、一列に並んで記念撮影を行った。この場所では50年ほど前、当時温泉街で宿泊客をもてなしていた芸者たちが橋の上に並んだ「ある写真」が撮影されていた。

信州千曲観光局の多田空太さんは、「今、コロナとか旅行形態の変化とかで芸者さんが少なくなってしまっている中で、温泉街でまだ頑張っている芸者さんがいらっしゃるので、一番栄えていたころを再現して、これからまた芸者文化を盛り上げていけたら」と話した。
47万人に激減した観光客
戸倉上山田温泉は、昭和50年代には年間130万人前後が訪れる人気の温泉地だった。
しかし、レジャーの多様化やコロナの影響により、2022年度の訪問客は47万人余りにまで減少。

活動する芸者も20人ほどに減ってしまった。
「芸者列車」で文化発信
地元観光局は温泉街のレトロな魅力を発信し、誘客につなげようと様々な取り組みを行っている。その一環として、2024年には鉄道会社と連携し「芸者列車」を運行した。

今回の記念撮影には、観光客のほか現役の芸者も参加。台湾からの観光客は「ほんとに楽しかったです。芸者列車を見て、スナックも楽しんで、ほんとにすてきな文化だと思います」と感想を述べた。
「元の活気を戻したい」
現役の芸者たちにとっても、今回の取り組みは大きな励みとなったようだ。
ひでの家の真珠子さんは「数多くの方に発信できるというのは、うれしい。もっともっと、元の活気を戻していきたいなと思って、それに貢献していきたい」と意欲を見せた。

多田さんは「温泉街ってたくさんあると思うんですけど、芸者さんに触れられるところって限られてくると思うので、ここの温泉街を知る一つのきっかけになれば」と期待を寄せている。
撮影された写真は、インバウンド向けのPRなどに活用される予定だ。戸倉上山田温泉の魅力を広く発信し、かつての賑わいを取り戻す取り組みが始まっている。
(長野放送)