子供の頬が赤くなる通称“リンゴ病” 「伝染性紅斑」の感染が関東を中心に広がりを見せている。妊婦が感染すると胎児が危険な状態になる恐れもあるというこの感染症。症状が出る約1週間前が感染力が最も高く、ワクチンや治療薬もないため、日頃からの手洗いやうがいなど感染症対策が重要だ。

「伝染性紅斑」について愛育病院副院長の石原靖紀医師は「パルボウイルスB19によるウイルス感染症で、頬に赤い紅斑が出るのが特徴。リンゴ病という呼び名もある」と説明する。

感染した子供は頬が赤くなり、その後、手足に網目状の発疹が出る。大人の場合は関節が痛くなることもある。
妊婦は特に注意が必要

感染力が最も高いのは症状が出る1週間ほど前で、症状が出た時には感染力がほとんどない。このため幼稚園や学校で一気に広まりやすく、患者は5歳から9歳の子どもが多い。感染した子供から大人へ家庭内感染することもあり、特に妊婦は注意が必要だ。

石原医師は「妊婦が初めて伝染性紅斑にかかると、感染した胎児に貧血が起こったり、むくみが強くなったりして危険な状態になることもあると言われている。症状が出ずに感染していることもあるので、妊婦の周りで伝染性紅斑の流行があった場合は、妊婦健診の時に産婦人科の先生にそのことを伝えた方がいい」と注意を呼び掛ける。
5年に1回流行期、前回は2019年

伝染性紅斑は5年に1度大きな流行期を迎えるといわれていて、前回の流行は2019年。そしてこの冬、東京では6年ぶりに都の警報基準を超え、関東地方を中心に感染が広がりつつある。

福井県内では、1月上旬の段階で感染者数は多くないが、だからこそ注意が必要だと石原医師は呼び掛ける。「最近大きな流行がないので、まだ感染したことがない子供が多いのではないか。伝染性紅斑は1回かかれば、その後はかからない感染症だが、感染したことがない子供が多いので、今後は大きな流行になるかもしれない」
また、年始から夏にかけて広がる傾向があり、これからの時期は特に注意が必要だ。
ワクチンも治療薬もなし
「ワクチンも治療薬も存在しない。感染経路はコロナ等と一緒で、飛沫と接触なので、手洗いやマスクなどをすることで、ある程度は予防できる」

インフルエンザなど感染症が広がりをみせる今シーズン。伝染性紅斑の流行も今後、全国に広がる可能性があり、手洗いやマスクの着用を徹底し予防につなげる必要がある。