1月13日午後7時。大勢の客が見守る中、店長が先頭に立ち、店員らが深々と頭を下げた。イトーヨーカドーアリオ札幌店が閉店した。

「札幌で19年、北海道のイトーヨーカドーで50年。長らくのご愛顧、誠にありがとうございました」(店長)

大勢の客が詰めかける店内
大勢の客が詰めかける店内
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「帯広の店から数え北海道では50年間の営業に幕を下ろすことになる。いままで本当にありがとうございました」(館内アナウンス)

最終日の1月13日、大勢の客が詰めかける店内に3回響いた館内アナウンス。北海道民とともに歩んだ半世紀への感謝が伝えられた。

なじみ深い「ハト」のマークは完全に姿を消した。

イトーヨーカドー 道民とともに歩んだ50年に幕

洋品店「羊華堂」として東京・浅草で誕生 イトーヨーカドーのHPより
洋品店「羊華堂」として東京・浅草で誕生 イトーヨーカドーのHPより

今から約100年前の1920年、洋品店「羊華堂」として東京・浅草で誕生したのが前身のイトーヨーカドー。

1972年にあの「ハト」のマークが採用された。

函館店オープン時には行列が
函館店オープン時には行列が

これは函館店がオープンした1980年の映像だ。店の外まで長い行列ができ、店内は大にぎわいとなっていた。

1975年に帯広市に第1号店を出店したイトーヨーカドー。

大型スーパーが続々と登場
大型スーパーが続々と登場

当時は全国的にダイエーや西友など大型スーパーが続々と登場した時代。

地元の小売店には“黒船”として衝撃を与えた。

その後、札幌市の琴似店、札幌ドームに近い福住店などが続々開店。

そして。

北海道初の大型ショッピングセンターとして開業した「アリオ札幌」

アリオ札幌周辺は大渋滞
アリオ札幌周辺は大渋滞

「アリオ札幌をぐるっと取り囲むように車の列が続いていて、ものすごい渋滞となっています」(2005年当時のリポート)

イトーヨーカドーを中心に、北海道で初めて大型ショッピングセンターとして開業した「アリオ札幌」は、2005年に誕生。

初日は約5000人の行列
初日は約5000人の行列

初日は約5000人が並んだ。

エスカレーターもフードコートも大混雑。

フードコートも大混雑
フードコートも大混雑

イトーヨーカドーの他、専門店街には111のテナントが入り、華々しいスタートを切った。

2006年のピーク時には北海道に15店を展開。

ピーク時には北海道に15店
ピーク時には北海道に15店

幅広い品揃えで北海道民の生活を支えてきた。

しかし。

業績低迷で相次ぐ閉店― アリオ札幌店をもって北海道から完全撤退

「いやぁ、やっぱり残念ですね」

「昔はよく使っていたが最近はちょっと。だから、こういうことになるんだなって。地元の人間として少し反省ですね」(いずれも利用客、2010年)

2010年苫小牧店が閉店
2010年苫小牧店が閉店

2009年と2010年に売り上げ減少に伴う業績低迷で千歳店と苫小牧店が閉店。

その後、不採算店舗の閉鎖を進め1月13日、アリオ札幌店の閉店をもってイトーヨーカドーが北海道から完全撤退した。

北海道から完全撤退 提供:視聴者
北海道から完全撤退 提供:視聴者

「19年間ずっと、家が近くてお世話になっていた。家の冷蔵庫みたいに使っていた。思い入れがあるので最後を見届けにきた」

「ほとんど毎日来ていたので、子どものお菓子を買えなくなるのでさびしい」

「この辺りはスーパーがここしかないので困る。(閉店で)しばらくは我慢の生活が続くかな」(いずれも利用客)

店では午後7時に閉店セレモニーが行われ、北海道民とともに歩んできた50年の歴史に幕を下ろした。

北海道文化放送
北海道文化放送

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