長野県上田市の長野大学で、女子大学生たちが消防団員として活動を始めている。全国的に消防団員のなり手不足が課題となる中、学生たちが、仲間と共に学生消防サークル「長野大学分団」を立ち上げた。消防団員の父の姿や震災の経験が彼女たちを動かし、地域の安全を守る新たな担い手として期待が寄せられている。

「父の姿見て消防団に興味」

上田市消防団第15分団の団員である長野大学4年生の国井佳音さん(22)は、宮城県東松島市出身。

父親が地元の消防団に所属していたことから、幼いころから消防活動に興味を持っていた。「父がやっているのも見ていますし、消防の活動いろんなことやってみたいということがあったので」と国井さんは入団のきっかけを語る。

震災経験が防災意識高める

国井さんが防災への意識を強く持つようになったのは、小学2年生の時に経験した東日本大震災がきっかけだった。「だんだん揺れが大きくなって、バーンっていう激しい揺れがきて、みんな『キャー』っていうふうになってって、今でもけっこう覚えてます」と当時を振り返る。

国井さんの父親の貴博さん(51)
国井さんの父親の貴博さん(51)
この記事の画像(15枚)

父親が消防団員として現場で活動した姿も、国井さんの決意を後押しした。

大学での募集で仲間増える

上田市の消防団員は2006年の2400人余りから現在は1545人に減少。

特に20代の団員は167人と全体のおよそ10%にとどまっている。

文化祭で市の消防団が団員を募集
文化祭で市の消防団が団員を募集

この状況を受け、市の消防団が大学で初めて団員募集を行ったところ、国井さんを含む3人の女子学生が入団。上田市消防団第15分団の林幹分団長は「分団としても活気が出ますし、若い力はすごいエネルギーをもってます」と期待を寄せる。

学生消防サークルを結成

さらに仲間を増やそうと、国井さんたちは2024年に学生消防サークル「長野大学分団」を立ち上げた。メンバーは全員女子学生の5人。

学生消防サークル「長野大学分団」の3人も消防車に乗り上田市消防団と共に定期広報
学生消防サークル「長野大学分団」の3人も消防車に乗り上田市消防団と共に定期広報

「サークルってけっこう気軽に入れると思うので、そこからのつながりで消防団、とすれば、(団に)入るときも1人じゃないし、敷居もだいぶ下げられるんじゃないかと」と国井さんは狙いを語る。

課題は入団までのサポート

文化祭でのアンケートでは、消防団に「興味がある」との回答が63%に上った一方、「入団したい」という回答は15%にとどまった。

長野大学2年の大橋美優さんは「まずは入学式での勧誘活動を頑張りたいと思っています」と意気込む。

現在、「長野大学分団」のメンバーは女子大学生のみ
現在、「長野大学分団」のメンバーは女子大学生のみ

国井さんは卒業後も消防団員を続ける予定で、「若いのにすごいねとか、見ているとパワーもらえるとか、そういう言葉をいただくことが多いので、学生団員として活動してくれる人が増えれば、その地域の人にとってのやる気とか元気になるんじゃないか」と、学生消防団員の増加に期待を寄せている。

(長野放送)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(15枚)
長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。