AIが参考病名を提示
東京都内の内科クリニックを訪れた女性。診察室に入った途端…
医師:
のどが痛いし、体がだるいし、熱っぽいということですね
女性が説明する前に、医師はすでに病状を把握しているようだ。
ここは、東京・品川区にある「目黒みらい内科クリニック」。待合室の女性の手元には、タブレット端末が…
診察の順番を待つ間に「喉が痛い」「熱っぽい」など、自分の身に起きている症状などタブレット上の10個ほどの質問に答えている。
これは「Ubie(ユビー)」というスタートアップが手掛けたAI問診サービス。
患者が答えた情報を、すぐさま電子カルテ化したうえ、患者の病名を10程度予測し、参考病名として医師に示す。
「発熱、倦怠感」の症状にAIは・・・
例えば、主に発熱や倦怠(けんたい)感を訴える63歳女性のケース。
「血圧が高いと医師に言われたことがありますか?」という問いに、「ノー」と答えると、関節リウマチや風邪症候群が可能性が高い病名として上がる。
すると、次は関節リウマチの確立にひもづく質問が出てくる。
「首の痛みやこわばりがありますか?」という問いに、「ノー」という回答によって、関節リウマチの可能性は消え、風邪もしくはウイルス性胃腸炎が候補に。
AI問診は、5万件を超える医学の文献を学び、参考病名を導くアルゴリズムを構築した。
医師の判断とAIの参考病名が一致
タブレット端末でAI問診に回答した女性ののどを確認した医師は…
医師:
少し膿がついてますね。扁桃炎ですね
医師の判断とAI問診による参考病名「急性扁桃炎・咽頭炎」が見事にマッチ。
目黒みらい内科クリニック・太田啓介院長:
診察の所見から病気をいくつか考えていって、そのあとのことに至るが、どうしても漏れてしまうとか思いつかないということもあるので。最終的な責任は我々が負うわけですけれど、(AI問診は)そこに対して役に立つと思います
スマホで受診相談サービス
医師の負担を軽減するAI問診。このシステムを用い、さらに期待されているのが、スマホでできる受診相談サービスだ。
スマホ受診相談を利用したディレクター:
「あなたの状態は、参考病名『強度近視』。近隣の医療機関への受診をおすすめします」と出ています
受診の必要性だけでなく、自宅近くの適切な医療機関も表示される。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療機関に行くことをためらう“受診控え”による症状の悪化を防ぐ。
最先端技術を用いた、人と医療の新たな形。
その今後について…
Ubie・阿部吉倫共同代表:
発症から治療経過全体を通してフォローアップしていくような問診を実現し、患者とドクターが同じ治療ゴールに向かって一緒に歩んでいける形にもっていきたいと…
職場のメンタルケアに活用も
Live News αでは(株)キャスターCOOの石倉秀明さんにオンラインで話を聞いた。
三田友梨佳キャスター:
石倉さんは会社を経営していく上でスタッフ700人の健康への配慮も求められると思うのですが、今回の試みについていかがですか?
(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
このAIによる問診というのを職場でのメンタルケアに有効活用できるのではないかと思いました。今50人以上社員がいる会社というのは産業医の選任だったり、半年に一回メンタルストレスチェックが義務化されています
(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
ただ、日本全体で見ても鬱病の患者さんは120万人から130万人いると言われていて、数は減っていない状態なんですね。その状況を考えると病院やクリニックに診察に行くとか、産業医に相談するということ自体のハードルは実はまだまだ高いのかなと思います。実際に精神疾患を患ってしまった方の約7割の方は症状が重くなる前に診察を受けていないという調査も出てきています
三田友梨佳キャスター:
そうなんですね。今回のような取り組みが診察を受けるきっかけになるといいですね
(株)キャスター取締役COO・石倉秀明氏:
リモートワークのような働き方も増えてくると、周囲の人が顔色を見て異変に気付くということが難しくなってくるので、病気を抱えるリスクも大きくなってきます。だからこそ事前に自分は今、健康なのか、診察を受けた方が良いのか、それがわかるというのは予防の観点から非常に有効なんじゃないかと感じました
三田友梨佳キャスター:
今は情報が溢れる時代で、体調に関する不安も自分で抱え込むとさらに不安を助長してしまうこともあるので、こうしたサービスを適切に使うことで、安心につながると思いますし、医療に従事されている方の負担軽減にもつながることが期待されます
(「Live News α」9月3日放送分)