減るスピード緩やか…厳重な警戒が必要
「減少しているものの、依然高い水準で推移しており、再増加への厳重な警戒が必要」
きょう開かれた東京都の新型コロナウイルス感染症モニタリング会議では、新規陽性者数と接触歴等不明者数は、減ってきているものの減るスピードが緩やか、として“厳重な警戒が必要”との見方を示した。

「非常に40代以上が増えてきている」
また“警戒が必要”なのは年代別の割合にも表れている。ここ最近、無症状や軽症者が多い20代30代が6~7割占めていたのが、今週その割合がついに半数を切って48.9%となった。そのぶん、40代以上の割合が39.5%から43.7%に増えている。これは、重症化リスクの高い人が増え、今後重症者が増える恐れがある、とも考えられる。
そして、家庭内感染の増加が続いていたが、数字的にもかなりはっきりと現れた。家庭内感染は7月の1カ月平均が19.1%から8月の1カ月平均は35.7%に大幅に増加していたのだ。
感染例としては、今週も友人との会食、カラオケ、バーベキューなどの感染や会合でのクラスター発生例もあったことから小池知事は改めて「家族以外との交流での基本的な感染防止対策の徹底が家庭内へ感染を持ち込まないためにも重要」と強調、会食についても「長時間の飲酒、飲食、大声を控えていただきたい」と述べた。

一方、国と東京都で定義が異なる重症者は、数の違いがさらに大きくなった。
東京都では、新型コロナウイルスの重症者の定義を人工呼吸器管理をしている、ECMO(エクモ)を使用している、のどちらかに当てはまる患者としているが、厚労省の定義では、ICU、ハイケアユニット、等に入室している人等、と幅広くした。これにより、9月2日時点で都の定義だと29人の重症者が、国の定義だと101人と3倍以上になってしまった。

コロナとインフルのW流行見据え3413億円の補正予算案
今後、秋冬にむけ感染者の増加も懸念されていることから、都は3413億円の補正予算案を新たに作った。新型コロナウイルスとインフルエンザのW流行を見据え、重症化リスクの高い高齢者への対策を強化のため、65歳以上、または60歳から64歳で基礎疾患がある人に対し、無料でインフルエンザの予防接種を受けられるようにすることや、高齢者、障害者施設の入所者などを対象にスクリーニング検査を無料で受けることが出来るようにすることなどが盛り込まれている。

制度融資も拡充…平成23年度以来の都債発行へ
一方で経済活動を支えるため、個人や中小企業を対象とした制度融資(東京都が融資に必要な資金を金融機関に預託するもの)の目標融資額を2兆5000億円から3兆8000億円までひきあげたり、実質無利子融資とするための利子補給額も入っている。新型コロナウイルスを巡る補正予算は9度目で、今回のぶんを合わせるとおよそ1兆6000億円にのぼる。そして、今回の予算の財源として、都債(=都の借金)を発行することになった。補正予算のために都債を発行するのは平成23年度以来だという。
都の担当者は「これまで都債の発行を抑えてきて都債発行余力を培かってきた。今後(新型コロナウイルスの影響で)税収が減っていく。基金と抑えてきた都債の財政余力を使っていきたい。都債が悪いわけではなくバランスよく使っていきたい」と話す。
ある都議会幹部は「制度融資のお金は戻ってくるものなので、都債を発行しても問題ない」との見方を示す。しかし、都議会自民党は「財源確保のためにはまずは都有財産の売却から」と明言しており、コロナ禍の終息が見えず長期戦が予想される中、今月開かれる都議会で都財政のあり方についてどのような議論が展開されるのかも注目したい。
(執筆:フジテレビ社会部 都庁担当 小川美那)