三浦にインタビューした宇野昌磨さんも「彼のスピード感やそこから繰り出されるジャンプのダイナミックさは一番目を引くポイント」だと評価する。

また、宇野さんは「スピードを出すことは力も体力も使います。そのスピードが速ければ速いほどジャンプをコントロールするのも難しく、デメリットばかりなんですよ。ただ彼はそういったデメリットをあまり感じさせない」と話す。
2022年の全日本選手権で選手それぞれの最高時速を計測したところ、三浦が全選手のなかで一番速かったというデータもある。
ただ三浦自身もスピード感を武器と自覚しながら、うまく扱えていなかった時期もあったと振り返る。

「生まれ持った能力とまではいかないですが、もとからスピードを出して跳んだ方が跳びやすいという思いで、ずっと練習してきました。だからこそなのか、なかなか安定しない時期もあって、ようやくコントロールできてきて、スピード感が徐々に自分の武器になりつつある。
特に最高時速が出た2022年の全日本はおそらくショートだと思います。あの試合は結構、吹っ飛ばされて、2本4回転転んでショート13位でした」
2022年の全日本と今回は同じ会場、大阪府門真市「東和薬品RACTABドーム」で行われる。そして2022年当時、宇野昌磨さんが言っていたという言葉を三浦は思い返す。
「あのとき昌磨くんが“温度で氷が変わって硬くなっている”みたいなことを言っていたと思うんですけど、昌磨くんはその辺りを調整していた。でも自分はなりふり構わずスピードをパンって出して跳んで失敗…みたいな感じで。今年も同じ会場だからこそ、注意していきたい」
全日本は下克上で挑む
さらなる飛躍が期待された今シーズンだったが、ここまではケガの影響などもあり、思うような演技ができない苦しいシーズンの前半戦となった。