高知市で花の苗を生産する業者が、登録者数110万人を超える人気ユーチューバーとコラボして、ビオラのオリジナル品種を開発している。今までなかった新しい花を、高知から世界に届けたいと意気込んでいる。

オリジナルのビオラは150種類以上

高知市春野町にある「見元園芸」は、ビオラやクローバーなど、草花の苗を全国に向けて年間50万ポット以上出荷している。

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中でも、ビオラには、淡い色合いと花びらのフリルがメルヘンチックな印象を与えるものや、花びらがウサギの耳のようにピンとしていてユニークなものまである。

見元園芸の特徴は、苗の栽培だけでなく新しい品種の開発も手掛けていることだ。今までに生み出したオリジナルのビオラは150種類以上にも上る。

見元園芸の常務・見元大祐さん(32)は「今まで見たことないようなものを皆さんに見ていただきたい」と話す。大祐さんは元々、芸術大学の大学院で写真を学んでいたが、花でお客様を笑顔にしたいと家業を継ぐことを決めたという。

畑の近くには直営のお店「トミーの庭」もある。季節の植物で彩られ、高知県外の園芸ファンがツアーで訪れることもあるという。

ガーデニングを始めたばかりの客は、「たくさんの種類のお花があったり苗があったり。新しい元気な苗がたくさんある」と笑顔で話す。

カーメン君「見元さんしかいない」

見元園芸は今、大祐さんを中心に、あるプロジェクトに取り組んでいる。この日は父で社長の一夫さんと一緒にオンラインの打ち合わせを行った。

打ち合わせの相手は、人気ユーチューバー「カーメン君」。園芸やガーデニング、植物の魅力を発信していて、チャンネル登録者は110万人を超えている。

カーメン君は今回、全国の老人ホームなどに100万円分の花の苗をプレゼントする企画のパートナーとして、見元園芸に白羽の矢を立てた。

「なぜ見元さんか?なぜ見元さんというか、見元さんしかいないでしょう」と、企画のパートナーとして見元園芸を選んだ理由をカーメン君は話す。

カーメン君は愛知県在住で、2022年に動画の企画で見元園芸を訪れていた。園芸専門店で20年間働いた経験から、社長の一夫さんにどうしても聞きたいことがあったという。

見元園芸を訪れた動画の中で、カーメン君は「パンジービオラのラベル、あれが結構謎で。謎というか僕、すごく好きだったんですよ。今でも好きなんですけど」と話している。見元園芸のビオラのラベルにはオリジナルのキャラクターが描かれているからだ。

園芸専門店で働いていたとき、見元園芸の商品を並べると売り場が華やかになってありがたかったというカーメン君。親子で園芸店に来る家族が増えてきたが、子供に花を選ばせる親がいるときに、かなりの確率で見元園芸のビオラを選ぶ子供が多かったと話す。

実は、ラベルのキャラクターをデザインしたのは、当時小学生だった見元家の長女・郁実さんだ。現在は結婚して新潟県にいるが、今でも新品種ができるたびに新しいキャラクターを描いている。

キャラクターには名前が付いていて、社員・パートあわせて50人くらいがアイデアを出しあって決めている。

見元園芸のオリジナル品種を世界へ

見元ファミリーの「チームワークに感動した」というカーメン君たっての希望で、見元園芸は2022年から毎年オリジナルの「カーメン君ビオラ」を開発・販売している。

カーメン君は「小売りもやってらっしゃるのも強いところ。育種もちゃんとやってらっしゃる。デザインも自分でやっているところが生産者の域を超えている。時代を引っ張っていく生産者の方々がいてくれるとすごく心強い」と、見元園芸の魅力を語る。

30年前に父の一夫さんが30歳で始めた花の苗の生産。今、32歳の大祐さんが見据えているのは、自分たちのオリジナル品種の海外展開だ。

アメリカへの輸出に向けて生産の強化に取り組んでいるほか、中国では2024年10月から販売していて、SNSでは中国語での情報発信にもチャレンジしている。

中国では、都市部の20代から30代に園芸が人気だそうで、インターネットを使った生配信の通信販売「ライブコマース」にも挑戦している。
大祐さんによると、日本や中国では小さくて淡い色合いのビオラが人気だが、アメリカでは花びらが大きくて原色系の花が好まれる傾向だという。

大祐さんは「海外にも日本の植物を販売したい。今からガーデニングを始められる方でも、今までずっとガーデニングをやられている方にも、みんなに響くビオラを開発していきたい」と、今後の目標を語る。

“おらんく生まれ”の小さな花が、世界の人々の目を楽しませる日が来るのは、そんなに遠くないかも知れない。

(高知さんさんテレビ)

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