大雪で立往生が発生しやすくなる雪国の道路。大型トラックのスタックやノーマルタイヤの車などがきかっけとなり、大動脈がストップする事象が繰り返されている。2024年冬は大雪になる可能性が指摘されていることから、福井県内の幹線道路での大規模な立往生を未然に防ごうと、これまでにない対策が打ち出された。
物流に大きな影響も…敦賀で予防的通行止め
10日、国土交通省やネクスコ中日本などは、大雪が予想される場合に北陸自動車道へ入る車両を敦賀の手前で止め、滋賀県側から名神高速道路から東海北陸道へと誘導する広域迂回のための「予防的通行止め」を行うと発表した。国内の物流網に大きな影響を与えそうだ。
この記事の画像(9枚)福井河川国道事務所や県、ネクスコ中日本の幹部らは10日、福井商工会議所を訪れ、広域迂回への周知と協力を要請した。
今シーズンから初めて実施する広域迂回は、東海北陸道を使って関西以西と石川県以北の北陸を結ぼうというもの。福井県内で大雪が予想される場合や、北陸道の県内区間で通行止めが発生した場合、北陸自動車道の敦賀ICー長浜IC間、舞鶴若狭自動車道の敦賀ICー若狭美浜IC間を、通行止めの基準に満たない場合でも予防的に通行止めとし、名神高速道路から北陸自動車道への車両の流入を防ぐ。
立往生の原因は関西、中国からの車両
導入の背景について福井河川国道事務所の伊藤副所長は「北陸自動車道は関西圏、中部圏からの物流の大型車が多く、平成30年、令和3年に国道8号でスタックした車のナンバーを見ると、関西圏、中国地方のナンバーが100%という事態。夜間も物流車両が多い中で、救出が間に合わなかったり遅れたりすると、大規模な滞留が発生するため広域迂回を考えている」と説明。
福井河川国道事務所によると、北陸道を北上する物流トラックの目的地は、その約8割が石川県や新潟県など福井県以北だということで、福井県内が大雪であれば岐阜県を縦断し富山県に至る東海北陸道に迂回して欲しいとしている。
また、立往生の予防や除雪の迅速化を目的に行われる「北陸道と国道8号の同時通行止め」については今シーズンも実施する方針。
北陸道と国道8号を同時通行止め
これまで、北陸道が通行止めになった際は、国道8号へ誘導を図っていたが、除雪の妨げになるくらい大型車が流れ込み、スタックを誘導し逆効果になっているという。実際に2018年の2月の大雪では、北陸道が通行止めとなったため国道8号に車両が集中し、あわら市から坂井市にかけて66時間にわたって最大で約1500台の大規模な立往生が発生した。
福井河川国道事務所の伊藤征毅副所長は「一旦同時に止めて、除雪ができた方から早く解除したほうが結果的に利用者に迷惑が掛からないと考えている」とする。
今シーズンから、同時通行止めを行った際は、安全を確認後に国道8号の規制を先行して解除する方針だ。
同時通行止めになった場合は、名神高速や東海北陸道へ迂回させる可能性もあるが、関西圏のトラック業界は、福井テレビの取材に「立往生を防ぐために仕方がないが、移動距離が長くなる分、時間もコストも燃料代もかかる。ドライバーの長時間労働にもつながる」と厳しい見方も示している。