5日、韓国の国会が公開した新たな映像。
窓ガラスを割って侵入する韓国軍兵士や、消火器を噴射し、兵士の侵攻を阻止する職員たちの様子が記録されている。
司令官も事態把握せず?
韓国の尹錫悦大統領が宣言した、いわゆる“戒厳令”の結果発生した、国会職員らと韓国軍兵士の衝突。
軍の部隊は国会を封鎖するため、国会議事堂の窓ガラスを割って侵入した。
映像の音声:
顔見せろよ!銃を下ろしなさいよ!
映像の音声:
阻止しろ!来るな!やめろ!撒くな!
映像では、消火器とみられる白煙が撒かれ、辺りが真っ白に。
戒厳令はわずか6時間で解除され、しばらくすると、軍は撤退した。
5日、戒厳令をめぐって国会で開かれた、国防委員会。
出席したのは国防省ナンバー2のキム・ソンホ国防次官と、戒厳司令官を務めた朴安洙陸軍参謀総長だ。
今回の戒厳令に兵士が動員されたことについて…。
キム・ソンホ国防次官:
私は軍兵力が動員されたことに根本的に反対してきたし、否定的意見を出しました。
一方、陸軍参謀総長は戒厳の事実を「大統領の談話を見て知った」などと主張した。
また、戒厳司令部が発表した布告令については…。
朴安洙陸軍参謀総長:
(布告令が)どんなものか正確に知らなかったので、「長官(国防相)、これは法務検討しなければならないようです」と申し上げました。
つまり、軍の司令官が状況を把握しないまま、事態が進展していたのだという。
また「戒厳軍に実弾が支給されていたのか」との質問には、「知らない、投入したことも知らなかった」と答えている。
事態の裏に「妻の疑惑」が?
大混乱を招いた、今回の戒厳令。
尹大統領が暴走した背景の一つとみられるのが、妻に向けられた複数の疑惑だ。
尹大統領の12歳年下の金建希夫人。
その美貌とファッションセンスが一部で支持され、私設のファンクラブも作られる存在だ。
しかし、夫の大統領就任前後で数々のスキャンダルが浮上し、メディアを賑わせていた。
2024年7月には高級ブランド・ディオールのバッグ約30万円相当を知人から受け取った収賄の疑いで、警察の事情聴取を受けていたことが判明。
特に問題となっているのが、自動車企業の株価の操作に関与した疑惑だ。
この疑惑を追及するため、国会では特別検察官を任命して捜査する法案が通過。
実は、尹大統領が拒否権を行使したことを受け進んでいた再採決が、今月10日に迫っていたのだ。
そうした動きを阻止しようとした大統領が、最後の手段に打って出たのだろうか。
戒厳令の混乱を受け、尹大統領には、野党6党から国会に弾劾訴追案が提出されている。
可決には野党だけでは届かないため、焦点は「与党から何人が賛成するか」だったが、与党は4日夜、反対する方針を決めた。
5日、野党の「共に民主党」は、金夫人に対する特別検察官任命の再採決を、大統領の弾劾訴追案の採決と同じ7日に繰り上げて実施すると発表している。
(「イット!」12月5日放送分より)