被害者 Aさん:
TikTokを見てたら広告みたいなやつが流れてきて、それで簡単に稼げるよっていうのがあって。
やめるんだったらその何倍の違約金を払うことになるって言われて、「これ詐欺じゃね?」となって…。
今、「簡単な内容で報酬がもらえる」と副業する人たちを狙った“副業詐欺”が増加しています。
この記事の画像(16枚)11月27日、副業詐欺にまつわる詐欺事件で、詐欺グループ22人が再逮捕されました。
国民生活センターによると、2023年度の副業に関する詐欺の相談件数は約3700件。3年前の約2.8倍に増加しています。
「めざまし8」は副業詐欺に遭った人を取材。被害者から巧みに金を引き出す狡猾な手口が見えてきました。
Aさん「本当にお金をもらえて…」報酬のために送金
「空き時間を利用してお金を稼ごう」「1日当たり3万~10万円が支払われます」
SNS上で、当たり前のように流れているという求人広告。東北地方に住む28歳の女性Aさんは、軽い気持ちで広告にアクセスしたといいます。
被害者 Aさん:
最初、面白半分でやったのもあるんですよね。「本当にもらえるんかな?」みたいな感じで。全然まるっきり信じてたわけじゃないけど、本当にお金もらえるんだったら、別に損しないし「やってもいいかな」みたいな感じで。
その後、広告主を名乗る業者のアカウントからメッセージが届き、秘匿性の高い通信アプリでやりとりすることに。そこで、業者から送られてきたのが、「課題時間と報酬対照表」という表でした。
10:00-10:40 1番目の課題 初心者課題グループの報酬 50円
10:40-11:20 2番目の課題 初心者課題グループの報酬 100円
11:20-12:00 3番目の課題 初心者課題グループの報酬 150円
12:00-13:00 4番目の課題 初心者課題グループの報酬 200円
(中略)
20:20-21:00 15番目の課題 初心者課題グループの報酬 300円
(※被害者提供 課題時間と報酬対照表より)
「課題」とは、Aさんに提示されたタスク(作業)のこと。
Aさんの場合、12時~13時の間に業者から指定されたTikTokの動画を視聴。視聴した証として動画の画面をスクリーンショットで撮影して業者に送ると、報酬として200円が支払われるというものでした。
実際に作業後、Aさんの元には200円分の電子マネーが入金…。
その後、Aさんは業者の勧めに従って、高額報酬をうたう巨大なグループトークに参加することになります。
「高級VIPミッショングループです 参加人数2813、オンライン344人」
(※被害者提供 グループトーク画面より)
そこで業者から指示されたのは、指定の銀行口座に3000円を振り込むという作業。
被害者 Aさん:
本当にお金をもらえたんですよ、3000円やったら(振り込んだら)。3000円振り込んだ時は3900円になって返ってきました。
これで「詐欺ではない」と思ってしまったというAさん。さらなる高額報酬の作業を受けることに…。
その内容は、指定された暗号資産の口座に自分の口座から1万円を送り、送金画面のスクリーンショットを送るというもの。しかし、ここからが悪夢の始まりでした。
被害者 Aさん:
1万円を振り込んで、グループに自分以外3人入っていて、「4人がタスク(作業)をクリアしないといけない」って言われて。
業者の指示通りに作業したにも関わらず、繰り返し要求される「追加の送金」。さらに…。
実際のやりとり
「違約金として総額の70%を収めなければならない!」
理不尽な理由をつけられて報酬が支払われない上に、指定の金額を振り込まないと、今までの報酬も引き出せないと言われたといいます。
仕方なく送金を続けたAさん。送金額はトータルで10万円ほどに…。
被害者 Aさん:
スマホ1つでできるし、みんな結構引っかかりやすい、若い人たち引っかかりやすいかなって。
Bさん「113万円」被害に お金を取り返すはずが…
さらに、高額な被害にあった人も…。
被害者 Bさん:
借金があるので、それの返済もあったんで。(必要な金額は)100万ぐらいですかね。
借金返済のために副業募集の広告にアクセスしたというBさん。しかし…。
被害者 Bさん:
最初は(報酬)入ったんです。で、だんだんやっていってという感じですね。
最初は1万円振り込みで、次に3万円の振り込みで、(報酬が)多分+9000円とか、それぐらいだったのでやったんですけど。その時にペナルティーっていう感じで、ミスがあったみたいで。それを取り返すのに「またなんぼ振り込んでください」っていうのがあって、それが続いていったんで…(被害額は)全部で113万円だったかな。
失ったお金は、総額にして113万円。すでに振り込んだお金を無駄にしたくないという思いから、業者の要求に従ってしまったといいます。
Bさんは警察に被害届を提出。捜査が進展するのを待っています。
“副業詐欺”見分けるポイント
詐欺トラブルに詳しい古市英志弁護士によると、“副業詐欺”のパターンは、大きく分けて3つあるといいます。
・タスク前に…高額報酬の場合、別サイトの登録費を要求
・タスク後に…時間内にできない場合、処理費・違約金などを要求
・報酬直前に…報酬を得るには手数料の振り込みが必要
詐欺グループは、弁護士費用などに届かないような額を請求し、被害者が泣き寝入りする状況を狙っている可能性があるということです。
その“副業詐欺”を見分けるポイントは…。
・「スマホ1台で稼げる」「簡単」「在宅ワーク」など、“手軽さ”をうたう勧誘文句
・企業名・仕事内容が不明
・「登録のための費用が必要」など、事前に金銭を要求
・報酬が高額
このような募集には注意が必要です。
(「めざまし8」11月29日放送より)