三重県・鈴鹿サーキット。スーパーフォーミュラ最終戦を前にした、11月8日(金)のフリー走行。

実況:
フリー走行は、山本尚貴がトップタイム!

解説:
そういう男ですよ、やはり。

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国内最高峰のドライバー21人の中で、最も速いタイムを叩き出したその選手。

フリー走行を終えると記者会見へ向かい、プレスから拍手で迎えられた。

「このトップカテゴリーのフォーミュラカーで15年間乗ることができたというのは改めて幸せだったなと思います。そういう意味では悔いはない、ただ、寂しいなと思います(笑)」

引退会見の直前にトップタイム。

そんな離れ業をやってみせたのは、PONOS NAKAJIMA RACINGの山本尚貴、36歳。

2013、2018、2020年と、現役最多3度の年間チャンピオンに輝いた男は、実に15年に渡り走ってきたスーパーフォーミュラのシートから降りることを決断した。

「中嶋総監督から今年で…という話をいただきました。これから先、レーシングドライバーを続けていく中であまりマイナスなイメージは持ちたくないですけど、やっぱり身体のことですね」

去年9月、スーパーGTでのクラッシュで首に選手生命を脅かすほどの大怪我を負った山本。

壮絶なリハビリの末、今年3月のスーパーフォーミュラ開幕戦で復活の表彰台に上がったが、自身の中で葛藤も生まれていたという。

「結果が全ての世界で、チャンピオンを3回獲ってきたプライドもある中で、なかなか結果が出なかったというのはひとつ自分の中であった」

そんな時、元F1ドライバーでチームの総監督、中嶋悟(71)から声をかけられた。

「これから先、長い人生を歩むにあたって、『これ以上辛い思いをしてほしくない』と言われて。中嶋さんに身体のことを心配してもらって、後進にということを言ってもらった。自分で引き際を決められなかったところを背中を押してもらったという意味では中嶋さんに感謝していますし、本当に充実した15年間だったなと思います」

11月10日、日曜日。

山本尚貴が迎えたスーパーフォーミュラ最後の1日。

その勇姿を目に焼き付けようと、多くのファンがサーキットに訪れた。

そんなファンに、この男は走りで応える。

実況:
さあどうだ?山本尚貴はどこにくる?トップだー!1分37秒574!

予選Q1でグループトップタイムを叩き出してみせた。

そして決勝。ついにその時が訪れた。

山本尚貴、スーパーフォーミュラでのラストラン。

「タイヤがむき出しでまさにレーシングカーっていうものは究極はやっぱりフォーミュラカーだと思うので、一番速さを証明できるステージがフォーミュラカーのレースになるのかなと思うので、ライバルたちとしのぎを削って最後も戦えたらいいなと思っています」

実況:
そしてラストランの山本尚貴、いまファイナルチェッカーを受けました!6位フィニッシュ!

山本は予選9番手から順位を3つ上げ、6位入賞で最後のチェッカーフラッグ。

15年におよんだ国内最高峰の戦いに別れを告げた。

「やり切りました。もうキリがないので。来年やったら勝てたかもしれないですけど、それを言い出したら50も60になってもその気持ちになっちゃうかもしれないので。やり切ったし、あとは次のドライバーに託してまた自分の活躍できるところで頑張りたいなと思います」

2024シーズン、熱いドラマを見せてくれたモーターアスリートたち。

その熱は次のシーズンへと受け継がれていく。

クルマよ、速くあれ。人よ、強くあれ。

(写真・映像提供:JRP)

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