毎年猛威をふるうインフルエンザ。注射による接種が一般的なインフルエンザワクチンだが、10月からは鼻にスプレーするタイプの新たなワクチン「フルミスト」が日本でも接種できるようになった。

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この新たなワクチンのメリット・デメリットについて福井市の小児科医に取材をすると「インフルエンザB型には注射よりも効果が高い」という興味深い話も聞けた。メリットとデメリットについても解説してもらった。

弱毒化したウイルスを鼻に噴霧

かさはら小児科の笠原善仁医師は「フルミストはインフルエンザのウイルスを弱毒化したものを鼻に噴霧してワクチンの効果を出すもの」と説明する。

フルミストは毒性を弱めたインフルエンザウイルスを直接、鼻の穴の中に吹きつけるスプレータイプの生ワクチンで、左右の鼻の穴に各0.1ミリリットルずつ、計0.2ミリリットルを噴霧する。最大の特徴は、注射とは違って痛みがほとんどないことだ。

アメリカで2003年から接種が始まり、これまで36の国と地域で承認されている。日本国内では2023年3月に薬事承認され、10月1日から接種が始まった。  

インフルB型には「フルミストの方が…」

感染経路となる鼻やのどの粘膜に直接、免疫をつけるため、効率的に抗体を作ることができるといわれている。

感染経路に直接免疫をつける仕組み
感染経路に直接免疫をつける仕組み

笠原医師は「生ワクチンを使用しているため、流行株とワクチン株が大きく異なっても発症を軽減する効果が期待でき、特にインフルエンザB型に対しては、注射によるワクチン接種よりもフルミストの方が効果が期待できる」とする。

メリットとデメリット

注射との比較
注射との比較

接種可能な年齢は2歳から18歳まで。メリットとしては子供でもシーズン中に1回の接種で済むこと、注射による「不活化ワクチン」よりも効果の持続期間も長いことが挙げられる。デメリットは費用が高いことだ。また、ワクチンに毒性の弱いウイルスが含まれているため、喘息がある人や免疫不全の人などは、従来の注射によるワクチン接種が推奨されている。

「フルミストの方が値段が高いが、痛みがない。注射は今までも使われていたワクチンで効果も安定しているので、注射が嫌でなければ注射でもよい」(笠原医師)

病院やクリニックによってフルミストを導入していないところがあるため、ワクチン接種を希望する場合は、事前に電話やホームページで確認のうえ、子どもの健康状態をよく知るかかりつけ医に相談してほしい。

福井テレビ
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