寒くなると「早く熱いお湯につかりたい!」と思う人も多いのでは。ただ冷えた脱衣所からすぐに浴槽に入ると、命の危険を脅かすリスクが高まるという。
その症状は「ヒートショック」と呼ばれ、特に高齢者で発症することが多い。発生のメカニズムと効果的な対策を専門の医師に取材した。

温度差で急激な血圧の変化に要注意

2020年、溺れる事故で救急搬送された高齢者の人数を表しているグラフ。最も多いのは1月で、7月と比べると10倍以上に増加する。このほとんどが「自宅の浴槽」で発生、要因は「ヒートショック」だった。

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福井市の福井厚生病院・副院長、循環器内科の加藤浩司医師に話を聞いた。

加藤浩司医師:
ヒートショックの症状が重いと気を失う。誰も発見してくれなければ、浴槽で溺れる可能性がある

ヒートショックの原因は「血圧の変化」にある。寒さが本格化する冬は、暖房で暖かくなったリビングに比べて、暖房器具のないことが多い脱衣所は寒くなりがちだ。

暖房器具のない脱衣所は寒くなりがち
暖房器具のない脱衣所は寒くなりがち

そして暖かい部屋から寒い脱衣所に移動すると、その寒暖差で血管が収縮し血圧が下がる。一方、湯船につかり身体が温まると、血管が膨張し血圧が下がる。こうした急激な血圧の変化が身体に加わると、脳を循環する血液が減り意識を失うリスクが高まる。

寒い脱衣所から熱いお湯に浸かると…
寒い脱衣所から熱いお湯に浸かると…

特に高齢者で発生しやすい傾向にある。その中でも注意する人がいると加藤医師は話す。

加藤浩司医師:
年齢的には75歳以上の人が圧倒的に多いとされる。高血圧、生活習慣病、糖尿病など自律神経に乱れが出やすい人が多い。

また若くても持病がある人は、血管が柔軟に対応できないため注意が必要となる。

簡単にできるヒートショックの予防策

もしも、家族がヒートショックになってしまったら…その対処法を聞いた。

加藤浩司医師:
真っ先に浴槽の栓を抜きお湯を流しきる。そうすると救急隊が救出する時間が短縮される。また心臓マッサージで胸を早く強く押してほしい

ヒートショックは簡単に予防することができる。そのポイントは次の3つ。

1. 脱衣所を暖める
2. お湯の温度は41度以下、つかる時間は10分まで
3. 入浴は食後すぐ、飲酒後は避ける

加藤浩司医師:
これから寒くなり、ヒートショックも増えると思われる。家族で声をかけあって予防に努めてほしい

(福井テレビ)

福井テレビ
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