「カンロ」と老舗銭湯「堀田湯」がコラボし、特別な入浴体験を提供するーー。若者世代への「飴」の認知度向上を目指すこのイベント。専門家は、銭湯との組み合わせが「適度な不一致」により、ブランドの印象を強める効果があると指摘する。

「カンロ×堀田湯」赤い湯船とハーブの香りで癒し体験

健康のど飴と、老舗銭湯が異色のコラボレーションを展開する。

カンロとコラボした老舗銭湯「堀田湯」(東京・足立区)
カンロとコラボした老舗銭湯「堀田湯」(東京・足立区)
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冬本番も近づき、喉のケアも大事になってくるこの季節。11月15日が、いい(11)ひと(1)こ(5)えの語呂合わせで「のどあめの日」ということで、健康のど飴やカンロ飴でおなじみの「カンロ」が、異色のコラボレーションを始める。

「カンロ」がタッグを組むのは、若者にも人気の創業80年の老舗銭湯「堀田湯」(東京・足立区)だ。

「健康のど飴」仕様の桶
「健康のど飴」仕様の桶

のれんや桶などが「カンロ」のロングセラー商品の「健康のど飴」仕様となり、自慢の露天風呂は、15日から18日まで「健康のど飴・梅」をイメージした「梅の湯」になる。

入浴剤で銭湯の湯が赤色に
入浴剤で銭湯の湯が赤色に

大西輝ディレクター:
今、湯船に入浴剤が入れられお湯が赤色に変わりました。かすかに梅の香りがします。

そして、茶室をモチーフにしたサウナ室では特別なイベントが開催される。「健康のど飴」のハーブの香りを忠実に再現したアロマロウリュウだ。

大西輝ディレクター:
とてもスーッとした、すっきりとした清涼感があります。

堀田湯・従業員:
オレンジのベースなんですけれども、その中でものど飴の31種類の中からブレンドしたものをさらに組み合わせています。

ここでしか味わえない期間限定の究極の“ととのい”空間が誕生した背景には、カンロのある狙いがあるそうだ。

カンロが抱える課題は「若者の飴離れ」。グミに愛着のある世代が親世代になったことで、若者がのど飴を楽しみ、その「いたわり」に接する機会が減少傾向にある。そこでカンロはこうした世代への「飴」の認知度向上を目指し、異色のコラボが実現した。

カンロ マーケティング本部・安田拓史さん:
(「健康のど飴」が)日常に寄り添っていたわりを提供するっていうコンセプトでブランドをやっていまして、日常生活でいたわる時はお風呂っていうところに気付いた。話題化していただいてそのブランドの認知とかも、飴全体ののど飴を盛り上げられたらなと思います。

一方、堀田湯も「銭湯に通うきっかけになれたら」と話す。

堀田湯・大塚輝店長:
カンロさんから最初お話いただいたときに、同じ「健康」というキーワードがあって、すごく親和性を感じて、今回コラボご一緒させていただくことになりました。

コラボ期間中は「健康のど飴」の味わいをイメージした「マヌカハニーTEA」が無料で提供され(1人1本まで・無くなり次第終了)、お風呂あがりに喉を潤すことができる。イベントは21日まで行われる。

異色コラボが生む「適度な不一致」で印象に残る

「Live News α」では、一橋ビジネススクール教授の鈴木智子さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
異色のコラボレーション、どうご覧になりますか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
差別化を推進し、競争優位性を生み出すためには、特別なブランド体験を提供することが、ますます重要になっています。

「のど飴」のいたわりを、体全体で感じることができる銭湯は、まさに、特別な体験ですよね。

今回の取り組みのように、ブランドのコンセプトを体験を通じて伝えることは、効果的なマーケティングコミュニケーションだと考えられています。

堤キャスター:
「のど飴」とのコラボ相手が、どうして銭湯だったのでしょうか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
確かに、異色のコラボかもしれません。ただ、よく考えると、カンロの「健康のど飴」と今回の銭湯には、ハーブという体に優しい共通項があります。

意外な組み合わせだけど、ちゃんと通じるところがあるこうしたコラボは、ブランド論では「適度な不一致」と呼ばれています。

堤キャスター:
その「適度な不一致」によって、どんな印象を与えることができるのでしょうか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
完全に一致していると、当たり前で印象に残りづらいです。逆に完全に不一致だと、違和感が強くなります。

その中間にある「適度な不一致」の場合、「おやっ」と思わせる驚きがあるため、消費者の印象に残りやすいのです。

例えば、緑茶カテキン入りの制汗剤は典型的な「適度な不一致」の例です。緑茶に含まれるカテキンは、殺菌作用を消費者にイメージさせるため、異なる分野への活用でも納得感を与えています。

共通のパーパスが生む共感と信頼のブランド体験

堤キャスター:
特別なブランド体験を、異色のコラボレーション「適度な不一致」によって、成功させるための鍵はどこにあるのでしょうか。

一橋ビジネススクール教授・鈴木智子さん:
今回の取り組みでもそうですが、ここで問われるのは、なぜ、その企業が存在してるのかを表すパーパスと一貫しているかどうかです。

カンロは「心がひとつぶ、大きくなる。」この瞬間を積み重ねて、人と社会の持続可能な未来に貢献することを掲げています。

一方の老舗銭湯「堀田湯」も、「街を、温める」ことを大切にしています。どこか似たパーパスを持つ両者が、ハーブを通して響き合うことで、今回の取り組みに本物感を与えている訳です。

堤キャスター:
銭湯で心地良さを感じつつ、ハーブを通じていつもと違った体験をする。こういった機会が自分自身をいたわるきっかけにもなるのかもしれませんね。
(「Live News α」11月14日放送分より)