与党が過半数割れし、キャスティングボートを握る国民民主党の玉木代表は11日、一部で報じられた女性問題について認め謝罪し、両院議員総会で代表の続投が了承された。
この日、103万円の壁の見直しなどについて石破茂首相と会談した玉木代表。
FNNは、その手応えなどを単独インタビューした。

「不倫報道」で謝罪 同士からは…

青井実キャスター:
ーーけさ週刊誌の報道で会見をされたが、そうした中で、1回目・2回目と同士の仲間たちから投票を得た。これについて率直にどう思われているか?

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国民民主党・玉木雄一郎代表:
まずは、私の個人的な問題についてですね、本当にご心配も、またご迷惑もおかけしたこと、おわびを申し上げたいと思います。そのうえで、わが党28人全員がですね、「玉木雄一郎」と書いてくれました。2回目はですね、玉木雄一郎と書いたんですけれども、無効票ということになりましたけれども、今回は84票の無効票が出ておりますので、わが党がどうこうというよりも、結果はですね、石破さんにいずれにしろ決まるということでした。ですから、われわれとしては、1回目・2回目とも「玉木雄一郎」と書いたということですけれども、逆にこのどこも過半数を取っていないという状況の中で、われわれの果たす役割も大きいと思いますので、選挙で約束した政策をですね、しっかり進めていきたいと思ってます。

青井キャスター:
ーーその選挙で話していた政策、“103万円の壁”について、きょう午前中に自民党の石破さんと会談したということだが、どんな話し合いが行われたのか?

玉木代表:
はい、これぜひやるべきだということを直接伝えましたし、公明党の斉藤代表とも話をしましたけれども、公明党の斉藤代表は103万(円)を上げるべきだということをおっしゃっておられましたので、ぜひいい話ができればと思っていますし、やはり手取りを増やしたいという人はですね、多くいらっしゃいますので、そういった国民の期待に応える政策実現を仲間と一緒に全力で進めていきたいと思います。

青井キャスター:
ーー玉木さん、石破さんとお話になっても“178万円”というものは、玉木さんのご自身の考えの中ではまだ変わらないということでよい?

玉木代表:
変わりません。これから担当者同士で議論していくと思いますけれども、われわれこの29年間の最低賃金の上昇率が1.73倍ですから、それに合わせて、103(万円)を178(万円)ということで根拠がありますから、しっかりこのことを訴えていきたいと思います。

青井キャスター:
ーー折衷案になるという可能性はあるんですか?

玉木代表:
今まだ交渉の初期段階ですから、われわれとしては178(万円)を求めるという段階です。

スペシャルキャスター パトリック・ハーラン氏(パックン):
ーー前から個人的に気になってるところですが、引き上げるのはいいスタートかなと思いますが、そもそも“壁”にする必要はないんじゃないかなと思います。いきなり0から5%じゃなくて、0から0.1とか0.5とか1%ずつ少しずつ引き上げて、税率が上がってることに気づかないぐらい滑らかなカーブにしてもいいんじゃないかなと思いますが。

玉木代表:
パックンもよくご存知だと思いますが、アメリカのIRSですね、内国歳入庁は毎年ですね、アメリカはたぶん、スタンダードリダクションといって「標準控除」と呼んでますけども、これ毎年調整してるんですね。ですから、そういう仕組みを作ることも可能だと思いますが、日本の場合は、29年間ずっと103(万円)でしたから、本来ならインフレに合わせて少しずつ調整してきたらよかったと思うんですけども、これをデフレ下でさぼってきたので、これを一気にわれわれとしては引き上げていきたいということであります。

“103万の壁”引き上げにともなう財源は

宮司愛海キャスター:
ーーこの“103万の壁”引き上げにともなう財源の議論で、先週、財源確保、与党の責任、しっかりやってもらいたいとお話をされていたが、きょうの石破さんとの会談の中ではどんなお話があったのか?

玉木代表:
財源の話は、石破さんとも、あるいは斉藤代表(公明党)とも出てきましたけれども、これ丸投げするというよりもですね、一緒にちゃんと考えていきましょうということです。これはもう、引き上げることが国民にとって必要なので、与党だ、野党だ言ってないで、われわれも知恵を出しますけれども、ただ今、与党として100兆円を超える予算に責任を持っているのは政府与党ですから、何を削るのか、どこが優先順位が高いのか低いのかは、与党として判断いただかないと、政府として判断いただかないと、われわれとしても難しいので、そこはぜひ、われわれも考えますけれども、政府与党にも責任を持って考えていただきたい、そういう趣旨です。

青井キャスター:
ーーそのあたり、先日インタビューで伺ったあと、いろんな番組に玉木さんがご出演していたので、私拝見したが、やはり財源のところがちょっと明確じゃないように見えてしまっていて。具体的にこういうところでやっていこうと玉木さんご自身の中であるのか?

玉木代表:
まず財源がどうするんだって議論から入ることがちょっと間違っていると思っていて、例えばその基礎控除って、憲法25条の生存権を保障するための基礎控除なんですね。生きていくために必要な最低限のコストをまかなう所得からは税金を取らないと、取っちゃうと生きていけなくなりますから。だからインフレに合わせて、この生きるコストは上がるので、この標準控除を上げましょう、基礎控除を上げましょうということを提案してるわけですね。
一番最後に基礎控除を上げた1995年、上げたんですけど、この時は財源の議論してません。上げる必要があるから上げてるので。これはね、本当に皆さんのその議論もぜひ注意してもらいたいのは、国民の生活を守るために上げるんだと。国の国庫を守るために上げないんだって議論しては駄目だと思いますよ。

青井キャスター:
ーーただ、いずれにしても7兆円、8兆円財源、税収が足りなくなるのでそこを何かして埋めていかなければならないのは間違いないわけですよね。

玉木代表:
足りなくなるっていうのは本当なんですかね。例えば、去年の不用額といって、予算を積みますよね、予算作りますが、結局使い残しが約7兆円、その前の年は11兆円いらなかったんです、予算が。むしろ歳入は予定している2.5兆円増えて、その前の年は予定したより6兆円増えてるんですね。だから歳出・歳入をしっかり見直せば、本当に7兆円なのかということも含めて、これは今、政権を握っている政府与党が考える仕事なので、歳出・歳入、両面にわたった見直しはぜひやりませんかということを提案してるんです。
そのうえで、本当に7兆円なのかって示していただければ、われわれもしっかり議論していきますと言っているので、あまりその7兆円を前提に考えていただきたくないと思いますし、あとそもそも今、103万がですね、壁になって、もうせっかく最低賃金上がったので働く時間を調整せざるを得なくなって、もう10月で103万でいっぱいいっぱいになって、11月・12月、稼ぎ時じゃないですか、年末で。あえてここで働くことをやめてしまって店が開けない、人が雇えない、お客さんいっぱい来るのに売り上げを立てることができないって、もったいないと思いません?
だから、もしそれでお店を開いて、きちんと売り上げが立てばですね、それは消費も増えるし、売り上げも立ちますから、法人税・消費税・所得税、全部増えますから。こういったトータルで考えていくことをぜひやりましょうと言ってるんです。

青井キャスター:
ーーそういったことの議論を進めていくということなんですね。

玉木代表:
はい。

青井キャスター:
ーーあと公明党の斉藤さんとも話した106万円については、玉木さんご自身どうお感じになっているか?


玉木代表:
社会保障の壁の106万、130万についてはですね、暫定措置でありますけど、2年間の暫定措置ですでに対策が打たれています。それに対して、103万の税の壁は何もしてこなかったので、これをやりましょうということと、あとこれもメディアの皆さんにぜひご協力いただきたいのは、106万の壁ってのはですね、これこそ本当に壁なのかということを考えた方がよくてですね、確かに保険料負担が発生するんですが、その分、将来の年金額も増えるので、単に負担だけが増える“税の壁103万”とは少し性質が違うので、同じようにこれを説明するのは、私は少し誤解を与えると思うんですね。
ですから、106万、130万、われわれは考えます。ただ、これまで本当にノーマークでですね、私も実はそう信じてたんですけども、103万は所得税率も最低税率が5%なんで、別に増えて働いたって関係ないから壁じゃないですって説明を受けてたし、信じてたんですけど、選挙を戦ってみて、どれだけ多くの学生さんやパートさんがですね、やっぱり103万を気にして働いているのか、特定扶養控除の問題もありますけど、やっぱりここは見直していこうと。手取りを増やそう、消費を元気にしていこうということをぜひやるべきだと思います。

スペシャルキャスター パトリック・ハーラン氏(パックン):
ーーこの社会保障は返ってくるものだという意識が国民の間に低いと僕も感じますけど、どうやって説得しますか?

玉木代表:
はい、具体的な数字を見せることでしょうね。ただ、パックンもご存知のように、年金制度あるいは社会保険制度ですから、例えば、ある保険料を現役の時に払って、やっぱり長く生きるとやっぱり結果としてもらう方が多くなるんですけども、早く亡くなってしまう方は、払ったものに比べて少なくなってしまう。でも、それがある種、保険制度なので、人によって、あえて得か、損かという言葉を使うと、得の人もいれば損の人もいる。だから保険制度は成り立つんで、こういったことをですね、わかりやすく、少なくとも標準的なモデルできちんと示して、国民の理解を得ていくことが必要だと思います。

スペシャルキャスター パトリック・ハーラン氏(パックン):
ーーこれはやっぱり与野党、協力し合ってやるメッセージングですか?

玉木代表:
はい。私はね、この社会保障制度は与野党が協力してやっていくべきだと思います。何かお互いに誤解を与え合うような論戦ではなくてですね、正確にどうなっているのかということを国民に説明をして、理解を得ながら進めていきたいと思ってますので、国民民主党としてもそういう役割をですね、野党ではありますけれども、しっかり果たしていきたいと思ってます。

「野党第一党が各野党をまとめるのが必要」

フジテレビ政治部デスク・高田圭太:
ーー今回の決選投票、正直ちょっと気の抜けた決選投票になったと思う。やはり国会議員として総理大臣を決める1票を有効に使うのは大事という中で、今回これだけの無効票が出る形の選挙になった。国民の意といえばそれまでだが、今回そのヒリヒリするような決選投票にするために何が足りなかったのか?

玉木代表:
野党第一党が、各野党をまとめることが必要だったんではないですかね。そのためには、われわれもう、何カ月も何年も前から言ってますけども、やはり基本政策の一致の協議をきちんとやることです。憲法観や外交安全保障、原発を含むエネルギー政策、この国家運営の基本政策でバラバラだと、名前は書くけれども、できた政権でいったい何をするんですかね。われわれ、民主党政権の失敗の経験がありますから、基本政策の一致なく政権を作っても、国民を幸せにすることはできないと思っています。
ですから、本当にやるんであればですね、基本政策の協議を、手間かかりますし、大変だと思いますが、それを避けずにやることが必要だし、それをやらずに選挙しても選挙区調整もできませんし、それをやらずに決選投票してもですね、結局票が入らないということですから、これはわれわれよりも、野党第一党にそれを皆さん聞いていただきたいと思います。

青井キャスター:
ーー今回の週刊誌報道などを経て、その政策議論の場で、玉木さん自身の発言だったりそういったことが弱気になったり弱くなったりってことはなかったりしないのか?

玉木代表:
はい、私はあの出来の悪い党首なので、わが党には本当に優秀な仲間がいます。今、政策の交渉にあたっているのは、浜口誠参議院議員、そして税調会長として税制をやっているのは、古川元久国対委員長です。ですから、こういった優れた仲間の力も借りながらですね、国民民主党の掲げる、手取りを増やす経済政策、期待していただいた方はたくさんいらっしゃいますから、こうした優秀な仲間と一緒に、政策実現、国民のためにやり遂げていきたいと思ってます。

青井キャスター:
ーーいずれにしても玉木さんのおかげでこの“103万円の壁”について国民の関心事になったと思いますので、これからもスピード感を持って頑張っていただきたいと思います。

玉木代表:
頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。
(「イット!」11月11日放送より)

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