北九州発祥の「資さんうどん」が「ガスト」などを展開するファミレス最大手の「すかいらーくホールディングス」に2024年10月、約240億円で買収された。市民のソウルフードとして愛されてきた味や価格は今後どうなるのか?

「資さんうどん」は、1976年に北九州市で創業。値ごろ感や提供時間の速さなどを売りに繁盛し、半世紀近く市民に愛され続けている。甘めの出汁に柔らかくもっちりとした食感が特徴で、一番人気の「肉ごぼ天うどん」をはじめ、カレーやおでん、大き目のおはぎなどメニューも豊富だ。

「すかいらーくホールディングス」の東京本社に金谷実社長を訪ね、買収の狙いをズバリ聞いた。

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「うどん文化を全国へ広める」

現在、約70店舗ある資さんうどん。店舗戦略について金谷社長は「3年から5年、数年以内に3倍くらいの規模、200店規模にはできるかなとそのくらいのスピード感を持ってやる」と明言。2024年12月には関東初出店となる千葉県の八千代店をオープンさせ、2025年1月以降は東京・両国を皮切りに、すでに10店舗のオープンが予定されているという。

短期間で店舗をどうやって全国に広めるのか。そのカギは新規出店だけでなく「ガスト」など、「すかいらーく」の既存店を転換するという。主要道路に位置するロードサイドの店舗を中心に全国3000にも及ぶ店舗網を生かす考えだ。

「讃岐うどんだけではない、‶うどん文化”を全店に広める。全国に広めるっていうのはワクワクします。最終的には1000店舗くらいの規模になっても不思議じゃないブランド」と金谷社長の話にも熱がこもる。

多数の業態を持てば、同じ地域により多くの店舗を出店できる。それにより配送効率も高まる。今後、資さんは、既存のファミリーレストランからの業態転換に活用されることになるのだ。

全国展開で味が変わってしまう?

今回の買収で慣れ親しんだ資さんの味が変わってしまうのではないかと北九州市民は危惧しているが、金谷社長は「味やサービスを変えないというのは、大前提。今の味のままで関東でも十分通用する」と資さんの味を守りつつ全国に店を広めていけると自信を示した。

その背景には、資さんの出汁を分析した科学的な根拠があるというのだ。「理化学分析したんですけど、資さんの出汁っていうのは旨味成分のアミノ酸がすごく多くて、成分が全国に通用しているラーメンのチェーン店の出汁とかなり近いんですね。だから資さんは、どこにでも出店できるだろうというのが我々の見立てです」と胸を張った。

台湾から東南アジアへ 海外も視野

全国の次は世界展開へ。「近い将来、台湾への出店というのを考えたいと思ってます」と語る金谷社長。台湾に約70店舗を持つ「すかいらーく」だが、現地関係者からも資さんうどんは高い評価を得ているという。「まずは2025年に国内でいろいろと試してみて、目途が立てば2026年あたりには親日の台湾進出を本格化させ、そこから東南アジアに広げていくっていう感じになるかなと」。金谷社長の狙いは明確だ。

台湾進出、将来は東南アジアへ展開
台湾進出、将来は東南アジアへ展開

北九州の味が世界へ。今後、資さんは「すかいらーくホールディングス」の主力として世界規模での店舗拡大が進みそうだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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