旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたとして、熊本県内に住む2人が国に賠償を求めた裁判。旧優生保護法を『憲法違反』とした最高裁判決を受け、熊本訴訟も11月7日に和解した。

2018年に始まった熊本訴訟が和解

旧優生保護法をめぐっては、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが、国に賠償を求める裁判を起こし、最高裁は2024年7月に「旧優生保護法は憲法に違反している」と判断。国に賠償を命じる判決を言い渡した。

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この判決を受け、政府と原告団は9月に和解の合意書を締結。合意書では、原告の被害者本人に最大で1500万円を支払うとしている。

熊本では、2024年2月に79歳で亡くなった渡邊數美さんと70代の女性が不妊手術を強制されたとして、2018年6月に裁判を起こしていた。

熊本地裁は、国に2200万円の損害賠償を命じる判決を言い渡したものの、その後、国が控訴。福岡高裁で控訴審が行われていたが、2024年2月に渡邊さんが亡くなったため、遺族が裁判を引き継いでいた。

そして11月7日に福岡高裁で和解が成立。国は9月に締結された合意書に基づき慰謝料1500万円を支払うことになる。

係争中に原告亡くなり「心残り」

7日は弁護団が会見を開き、6年以上にわたった裁判を振り返り、三角恒弁護団長は「丸6年近くこういう形で裁判をやってきて、ようやく解決の場を迎えることができた」と述べた。

原告の女性は「今まで長かったが、弁護士の先生や支援者の方のおかげできょうまでこられて本当に良かった。私の一生の中で、神様が1日だけ願いをかなえてくれるなら、子どもや家族と普通に話をしたり、普通に食事したりして団欒の時を過ごしたかった」と述べた。

また、三角弁護団長は「『判決』ではなく『和解』という形だが、『和解』だと、足して2で割るようなイメージだが、今回の裁判はそういうことは全くなくて、むしろ判決を超える内容のものだと理解していいのではないか」と評価した。

一方、吉野雄介弁護士は、和解を見届けることができないまま亡くなった渡邊さんへの思いを「『渡辺さん自身がこの場に立って自分の思いを伝えることができたらどれだけ良かっただろう』と改めて思った。こういう形で無事に和解という形で訴訟に決着がついたことは良かったとは思うが、それでもなお、心残り」と述べた。

旧優生保護法をめぐっては、不妊手術を強制された人に1500万円を支払うなどする補償法が10月に成立し、2025年1月から施行される。

(テレビ熊本)

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