旧優生保護法の下で不妊手術を強制された人たちが国を訴えた裁判で、最高裁大法廷は7月3日に国に賠償を命じる判決を言い渡した。判決を受け、熊本訴訟の原告からも喜びの声が上がった。

全国で相次ぐ旧優生保護法訴訟 熊本でも

旧優生保護法をめぐっては、障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが、国に賠償を求める裁判が全国で相次いでいる。

この記事の画像(6枚)

熊本では、不妊手術を受けさせられた渡邊數美さん(79)と70代の女性が、国にそれぞれ3300万円の損害賠償を求めて裁判を起こし、2023年1月、熊本地裁は国に2200万円の損害賠償を命じる判決を言い渡した。

その後、国が控訴し、福岡高裁で控訴審が行われていたが、2024年2月に渡邊さんが亡くなったため、判決期日が延期されている。

東京訴訟で最高裁が憲法違反認める

7月3日は東京で起こされた訴訟など5件の上告審判決があり、最高裁大法廷は「旧優生保護法は憲法に違反している」と判断。また、手術から20年たつと賠償請求の権利が消滅する『除斥期間』についても適用を認めず、5件のうち4件について国に賠償を命じる判決を言い渡した。

判決を受け、熊本訴訟の原告団は集会を開き、原告の女性は「弁護士の先生や支援者の皆さんのおかげでここまで来ることができた。ありがとうございます」と最高裁の判断に喜びの声を上げた。

三角恒弁護団長は「いかに優生保護法という法律が人道に反するような法律だったか、優生手術がいかに人権を侵害していたのかということを宣言したという意味で、本日の最高裁判決は重大な意味があったのではないか」と述べた。

原告団によると、渡邊さんの訴訟は遺族が引き継ぐ準備を進めているということだ。

(テレビ熊本)

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。