11月5日は「津波防災の日」とされている。2024年元日の能登半島地震でも、津波による被害が出たが、実は福岡市内でも僅かな時間で津波が押し寄せる危険があるのだ。玄界灘、響灘、周防灘と3つの海に囲まれている福岡県。北部沿岸が面する日本海の津波の危険性とはー。

活断層帯「西山断層」が動いたら…

能登半島地震では、最大震度7を観測し災害関連死を含め400人以上が亡くなっている。この地震では、津波も発生した。石川・能登町や珠洲市では高さ4メートルを超える津波が押し寄せ、家屋などに大きな被害が出た。

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能登半島と同じく日本海に面する福岡県。その沿岸には、約160万人が暮らす福岡市、約95万人の北九州市など人口の多い地域が集中している。

福岡県北部沿岸の宗像市から南部の朝倉市に至る約110キロに活断層帯「西山断層」がある。この断層の海側で地震が発生すれば、宗像市や福津市などで震度6以上の揺れと、最大で約4メートル、能登半島と同じ高さの津波が押し寄せる恐れがあるのだ。

福岡市も例外ではなく、ハザードマップによると福岡市の中心部、中央区の福浜地区では沿岸部で2メートルを超える津波が表示されている。

少ない水位でも足元をすくう津波

防災工学を研究する九州大学大学院の三谷泰浩教授とともに福浜地区の菰川堤防沿いを歩いた。福浜地区には、プロ野球が主に開催されるドーム球場や高層ホテルなどがある。

「堤防があるので、津波の被害はある程度は防げるかと思いますが、堤防を越えると水は全部、(陸側に)流れて来ます。この辺りも津波の高さが30センチとか1メートルの高さが想定されています」。能登半島での津波の高さに比べると低いようだが、三谷教授は安心できないと話す。

「津波が来ると道に沿って流れる。津波って流速があるので、少ない水位でも足下をすくわれることがあります。30センチくらいの津波でも結構な水の勢いがつきます」。津波の性質についてはさらに「津波の水というのは海底の泥とかを巻き込んで来ます。真っ黒い水が流れて来る可能性ありますので、足下が見えません。蓋のない側溝とか全く見えなくなります」と三谷教授は警鐘を鳴らした。

地震から最短7分で水位に変動と想定

そして日本海側の津波の怖さは、津波の到達までの時間だ。西山断層が原因による津波の場合、福岡市東区では地震から最短7分、中央区でも約30分で水位に変動が表れると想定されている。

三谷教授は都市部での津波について避難の仕方が明暗を分けると話す。「この場所(福浜地区)だと、例えばドームとかホテルとかがあるので、そういうところに逃げ込むのが最も得策。(津波からの)距離で稼ぐのではなく、高さで稼いで下さい。例えば2階から3階に上がれるような避難の仕方が街中では必要」と三谷教授は指摘する。

県内で最も高い津波が想定されているのは福岡市と北九州市のほぼ真ん中に位置する宗像市。最大4.3メートルの津波が想定されていて、水位に変動が出始めるのが3分ほどだ。宗像市に隣接する福津市では最大3.8メートルの想定で水位の変動が僅か1分で起こるとされている。想定は西山断層が動いた場合だが、三谷教授によると海の中にはまだ見つかっていない断層がある可能性もあるという。

いつ起きるか分からない地震そして津波。地震が起きて津波が発生した際にどのような行動を取るのか?近くの高い場所に逃げるのか、頑丈な家ならば自宅内の高い場所に逃げるのかなど、1人1人が日頃から考えておく必要がある。

(テレビ西日本)

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