11月2日に行われるJリーグ・YBCルヴァンカップで初の国内主要タイトルをかけて名古屋グランパスとの決勝に臨むアルビレックス新潟。全4回シリーズで選手や監督の思いに迫る。今回は、守備の要であるベテランCBの舞行龍ジェームズ選手に話を聞いた。
プロ17年目!舞行龍選手が語る“アルビの変化”
「歳も歳だし、こういうチャンスも残りのサッカー人生でそんなに多くないと思うので、とにかく楽しみたいなという気持ち」

クラブ初のタイトル獲得に向けての思いを語ったのは、CBの舞行龍ジェームズ選手(36)だ。
今年がプロ17年目のベテランも、キャリアをスタートさせたのはアルビレックス新潟だった。
「ずっと自分のプロ生活を見守ってくれて、成長させてくれたチーム。そういう意味で初優勝、初タイトルをこのチームにもたらせることは、選手として恩返しになる」
自身は川崎フロンターレに在籍していた2017年と2018年にJ1リーグのタイトルを獲得。翌年の2019年にアルビレックス新潟に戻ってきてから、6シーズン目になる。
「選手一人一人の努力に対する姿勢は上がったと思う。自分が川崎にいたとき、トレーニングに励む選手が多く驚いたが、新潟に戻ってきたときにトレーニングをしていた選手は3、4人しかいなかった。ただ、今は、ほぼ全員何かをやっているし、個として自分を伸ばそうとしている選手は非常に多い」
今季活躍している選手も裏での努力を欠かしていないという。
「秋山選手は、最初ルーティンは何もなかったが、今は練習の2時間半くらい前から自分のパーソナルトレーナーをつけてエクササイズをしている。ちょっとだけ続く選手が多い中で、秋山選手はこの2年間ずっと続けているので、それが今のプレーに表れていると思う。谷口選手も、今年もパーソナルトレーナーとともに新しいトレーニングをしている。ほかの選手もそれを見て、刺激を受けて、同じトレーニングをすることもある」
直近試合では完敗も…決勝・名古屋戦のポイントは?
日々の準備を重ねてつかみとった初の決勝への切符。その対戦相手は名古屋グランパスだ。
「今季の前半戦は相性がよかったのでやりやすかったが、後半戦は相手がマンツーマン気味できてやりづらかった。個の力がある選手が多いし、ショートカウンターが非常に速いチームだと思う」
今季リーグ戦での対戦は1勝1敗と互角。ただ、直近の9月の試合では3-0と完敗している。
中でも警戒している選手を聞くと、FWの永井謙佑選手の名前が挙がった。
「年を重ねてもスピードが衰えないし、頭もいいし、経験も多く、こっちがボールを回そうとしているときに嫌な位置に立っている。ボールを奪われたらピンチになる位置をずっとうろうろしているので、対戦するときは、そのリスクと判断が攻守において非常に大事になってくる」
ただ、やりにくい相手だからといって、新潟のサッカーを変えるつもりはない。
「新潟のスタイル。ただ守ってカウンターだけではなくて、後ろからボールをつなぐ攻撃的で魅力的なサッカーができたら。相手のマンツーマンをうまくはがして、新潟のサッカーで優勝できるということをサポーターのみんなに見せたい。この前は完敗だったが、また良い試合ができるように準備をしたい」
MVPへの憧れも…念願の“初タイトル”へ
負けたらそこで終わりとなるカップ戦。舞行龍選手にとっては忘れられない大会があるという。

「9年前かな、一番タイトルまで近くなったのは。自分が新潟にいるとき、ルヴァンカップで準決勝まで進めたときが一番近かったが、逆転負けしてしまった。今回、決勝まで行けたことはすごく個人的によかったし、チームとしても初めての優勝チャンスなので、楽しみたいと思う」
念願の決勝で舞行龍選手が狙うのがMVPだ。
「自分が点を決めてMVPになりたい。川崎時代に自分と同世代だった新井章太選手が2019年の決勝でキーパーをやっていた。新井選手はなかなか出番がなかったが、決勝でPKも止めて優勝して、MVPをもらったのを見て、憧れのようなものを抱いている。自分もそういう勝ち方ができたら最高だが、それよりも、ただ優勝したい。なんでもいいので」
個人タイトルへの憧れも口にするが、それ以上に新潟の初タイトル獲得に燃えている。
「チームとして優勝して、サポーターが喜べばそれが一番。良い雰囲気の中で、絶対このクラブに初優勝をもたらして、最後カップを上げてみんなで喜びましょう」
長年にわたって新潟の最終ラインを支えてきたベテランが、初のタイトルをもたらしてクラブに恩を返すことができるのか。
国立競技場での決勝は、11月2日に行われる。
(NST新潟総合テレビ)