福岡ソフトバンクホークスのオフィシャルダンス・パフォーマンスチーム「ハニーズ」。2024年度の新メンバーとして加入した台湾・台北市出身のチウ・ピンハンさんがチームの勝利と共に躍動している。ハニーズ初の外国人メンバーとなった期待の新人の1日に密着した。
初の外国人メンバーは‟元アイドル”
プロ野球クライマックスシリーズ・ファイナル初戦。試合を5時間後に控え、みずほpaypayドームの1階にある稽古場では、ピンハンさんらハニーズのメンバーが練習に励んでいた。

ピンハンさんは、AKB48台湾姉妹グループ「AKB48 Team TP」の2018年発足時から正規メンバーとして5年間活動を続け、AKB48選抜総選挙や紅白歌合戦にも参加した元アイドルだ。2023年に卒業した後はSNSを中心にインフルエンサーとして活動していたが、ネットでたまたま見かけたハニーズのメンバー募集に運命的なものを感じたという。

2023年12月、ピンハンさんはオーディションのために来日。過去最多217人の応募者の中から見事、ハニーズの新メンバーに抜擢された。合格発表で自分の名前を聞いたときは「びっくりした」と語るピンハンさん。ただ合格して嬉しい気持ちと言葉の通じない日本で「本当にハニーズの活動、仕事ができるかな?」と不安も大きかったと言う。
‟英雄王会長”の存在を心の支えに
そんな彼女の気持ちを後押ししてくれのが、台湾でも偉大なホームラン王として英雄視されているホークス球団の王貞治会長の存在だ。「台湾にいるときに王会長のニュースをたくさん見て、福岡に来ての勇気を出せた」と語るピンハンさん。憧れの王会長がいるホークスを応援したいと日本行きを決意したという。

来日時はほとんど日本語をしゃべれなかったピンハンさんだが、YouTubeの動画などで猛勉強。チームメイトもピンハンさんの日本語の上達ぶりに目を見張る。メンバー間でも日本語を教えあうなどしてピンハンさんをサポートしている。さらにメンバーたちは、ピンハンさん加入後の変化を感じていた。「台湾の方だったり外国の方も興味を持ってくださったり、幅が広がったというか新しい風を吹かせてくれた」。メンバーの1人はハニーズを応援してくれるファン層の広がりを実感している。
試合開始2時間前。ピンハンさんたちハニーズのメンバーたちは、ドーム外のステージでパフォーマンスを行った。間近で見たホークスファンは「すごく楽しそうに踊るハニーズの姿を見てこっちもつられて笑顔になる」と話す。特に「日本語でありがとうって言ってくれるピンハンさんは、すごくかわいいです」とファンも多く、ピンファンさんは福岡でもすっかり人気者だ。

いよいよ試合開始。円陣を組むハニーズのメンバーたち。「ファーストクライマックスシリーズ第一戦、きょう、絶対勝つぞ!」大声で叫び互いに気合を入れた。

試合前のオープニングパフォーマンスに登場したピンハンさんは、軽やかなダンスで観客を盛り上げ試合に花を添える。
北海道日本ハムファイターズとの初戦は、序盤からホークス優勢で試合が進んだ。その頃ピンハンさんは…客席近くでパフォーマンスを行ったり、観客を盛り上げるために全力でドーム中を駆け回っていた。

試合はいよいよ7回へ。7回の攻撃が始まる前に行われるハニーズの「ラッキーセブン」のパフォーマンス。ピンハンさんは「いざゆけ若鷹軍団」の歌詞に合わせ、力強いパフォーマンスを披露。スタンドのファンと一体となる。

パフォーマンスの効果もあってか8回には、ホークス主砲、4番の山川穂高選手の豪快なホームランが飛び出してリードを広げ、クライマックスシリーズ・ファイナルの初戦を見事な勝利で飾った。ホークスは勢いに乗り3連勝で日本シリーズ進出を決めた。

日本と台湾のファンを繋ぐ架け橋に
球場全体が1つになってホークスを応援する中、選手やファンに向けて最後まで笑顔を絶やさずパフォーマンスを続けるピンハンさん。「勝ちました!良かったです!きょうの試合もめっちゃ緊張しましたし、控室でもずっと見ていて、わくわくして最後は勝ちました!」

最高のパフォーマンスでホークスに力を与えるピンハンさん。彼女は台湾出身の自分だからこそ、実現したい夢があるという。「台湾の野球ファンも、みずほペイペイドームに試合を見に来ている。台湾のファンと日本のファンをつなぐ存在になれたらうれしい」。きっとその日は来る。
(テレビ西日本)