2024年8月の台風10号で、宮崎県内では8カ所で竜巻などによる突風の被害を受けたことが確認された。宮崎県では明治以降、何度も竜巻の被害に遭っていることがわかっている。過去の記録から私たちが学べることは…。

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今栖那菜記者:
宮崎市赤江です。こちらでは、突風被害からまもなく1カ月が経とうとしていますが、現在も屋根にブルーシートがかけられています。

被害が大きかった宮崎市赤江から車で10分ほど移動してやって来たのは、宮崎市の中心部、県庁近くにある宮崎小学校。明治時代に出来、創立152年を迎え、県内で最も歴史がある。

そのグラウンドの片隅にある石碑に、143年前の竜巻の被害が刻まれている。

宮崎小学校 大垣雅史教頭:
竜巻の当時の呼び方、つむじ風ですね…

1881年、明治14年9月26日。子供たちが被害に遭った。竜巻で校舎は倒壊。16人が犠牲となった。

石碑には16人の名前が刻まれ、その被害の悲惨さを現代に訴えかけている。

宮崎小学校 大垣雅史教頭:
実際、子供たちはあまりこの存在について注目していなかったと思うのですが、先日の突風で、子供たちなりに、この石碑の意味を捉えているところじゃないかなと。

この突風被害の詳細が記された国立公文書館の記録を県文書センターで確認することができる。

これは宮崎がまだ鹿児島に併合されていた当時、鹿児島県の知事が宮崎での被害を国に報告した文書だ。

県文書センター 杉田茂延さん:
午前9時頃から東南の風が激しく吹きましたと…

大淀川の南部・太田村で発生した竜巻は、14戸の民家を倒しながら、今の大淀川から今の県庁近くの上野町上別府村を通過したとある。

竜巻で多くの建物が倒壊。記録は即死14人、けがをした後の死亡が2人、けが51人とその被害の大きさを伝えている。

県文書センター 杉田茂延さん:
そのうち、もっとも被害がひどかったのが宮崎学校の生徒であったと…

この傾向は今も変わらない。気象庁によると、1991年以降も宮崎県内では39個の竜巻が確認されていて、発生数は全国で4番目の多さだ。宮崎で発生する竜巻には同じ傾向が見られる。

宮崎地方気象台 甲斐禎朗さん:
竜巻の6割以上が台風に伴うもの、台風が接近することで発生している。

特に「台風が遠くにあるときから竜巻が発生することがある」と、宮崎地方気象台の担当者は話す。

「種子島、屋久島付近に台風の中心位置がかかってくると、突風が発生することがよくあります。必ず発生するわけではありませんが、今回、台風10号の場合は調査・研究した場所に台風の中心位置がきたときに発生した事例であったと思います」

台風10号での突風被害の詳しい調査結果は今後公表される予定。

宮崎小学校 大垣雅史教頭:
防災についての学びの材料としていかないと勿体ないな、という風に思っているところです。本校にこれがあるということも、是非他校の子供たちにも知ってもらって防災に役立ていただいたらいいかなと。

竜巻はいつ発生するかわからないものの、その被害は繰り返されていて、自然災害の恐ろしさは身近な場所で記録として残されている。

(テレビ宮崎)

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