東京の「23区じゃない方」をパワポで解説
ゆるキャラに自慢のグルメなどなど、「ご当地」の魅力発信に力が入れられているが、その一方で、目立たないスポットや、いまいちパッとしない名物などなど、その地域に住んでいる人以外にはあまり知られていない「地元あるある」もそこかしこに潜んでいるもの。
今、Twitter上にずばり「東京の田舎、多摩地域」というタイトルのプレゼンが投稿され、話題となっている。
「東京の田舎、多摩地域」についてパワポで解説しました。ご査収ください。 pic.twitter.com/eF4Epq9Usl
— トヨマネ (@be_tymn) August 16, 2020
「東京の田舎、多摩地域」についてパワポで解説しました。ご査収ください
投稿したのは、飲料メーカーに勤務しているというトヨマネ(@be_tymn)さん。
すでに「多摩地区とは?」と思った人もいるかもしれないが、大前提として東京都は「東京都区部(23区)」と「多摩地域(市郡)」そして「島部」に分かれている。
「東京」と聞くと、レンガ造りの美しい東京駅や、シンボルである東京タワー、あるいは渋谷のスクランブル交差点のにぎわいなどを思い浮かべる人が多いだろう。
スライドもまずこういったランドマークを挙げ、「東京都のこういったイメージは部分的に正しいですが、部分的に間違っています」とバッサリ。
「なぜかというと…東京都には多摩があるから」と、解説が始まるのだ。

では、多摩地域とはどんなところ?という問いには、「23区じゃない方」。
「多摩には何があるの?」「家と森以外特に何もありません(たまにドンキがある)」
など、非常にわかりやすいもののピリッと辛口な解説が続く。

さらには「東京の有名なところ、ほぼ全部23区にある。もっと言うとほぼこの中(中心部)にある。つまりもうこの範囲全部多摩と言っても過言ではない」と、23区の中心部以外は「すべて多摩地域」という暴論まで飛び出した。

多摩地域には5つの“民”がいる!?
さらに、解説は意外な方向へ。
多摩地域に住む人は新宿をターミナルとして東西に延びる「西武線・中央線・京王線・小田急線」を使うエリア、そして「奥多摩」エリアの“民”に分かれるが、南北に走る線の少なさから「民族が南北に分断され、独自に発展を遂げてきた」と、なんだか歴史の授業のような解説になってきた…

さらに歴史の授業は続く。
西武線の民:年に一度はとしまえんか西武園ゆうえんちに行く。
中央線の民:他の多摩の民と違っておしゃれだと思っている。
京王線の民:快速は各停と同じ意味だと思っている。
小田急線の民:町田はギリギリ東京都だと思っている。
奥多摩の民:電車はボタンを押して開けるのが普通だと思っている。
などの「地元あるある」がたっぷり。
“奥多摩の民”が「休日はとりあえずモリタウン(大型ショッピングモール)に行く」のに対し、他4つのエリアの“民”は「とりあえず新宿に行く」と書かれているのも細かい。

投稿には「色々否定したいけど否定できない(笑)」「わかりやすかった!」「予想外に謎の愛を感じて爆笑しました」という声、「サンリオピューロランドがあるから何もないわけじゃないよ!」という意見、「南北の移動は路線バスが頑張っています!」といった情報提供などなど、様々なリプライが寄せられ大人気に。
動画に入りきらなかったという「武蔵野市民は吉祥寺の躍進により、もはやウチは23区と言っても過言ではないのでは…と思っている」などの余談が投稿されると、さらに盛り上がる事態となった。
解説に入りきらなかった余談です pic.twitter.com/HOChDAH9bE
— トヨマネ (@be_tymn) August 16, 2020

多摩地域を“いじり”ながらも、2分9秒の中に情報がギュッと詰め込まれたこの動画。
コメントにもあったように「愛を感じる」仕上がりだが…一体なぜ、多摩地域のプレゼンをしようと思いついたのか?作者のトヨマネさんにお話を聞いた。
「深層心理が多摩を懐かしがって…」
――「多摩地域のプレゼン」をしようと思ったきっかけは?
本当に特に理由がなく、たまたま思いついたというのが本音です。今は多摩に住んでいないのですが、深層心理が多摩を懐かしがっているのかも知れません。
――多摩地域の魅力はどこ?
やはり、緑が多いところでしょうか。特に私が生まれ育った多摩ニュータウンは住宅地として計画的に開発されたため非常に緑地や公園が多く、また歩車分離が徹底されているので、歩いていて気持ちのいい道が多いです。

生まれてから大学生まで、実際に多摩地域に住んでいたというトヨマネさん。
「元々くだらないものを作ったり、何かをまとめたり説明したりするのが好き」とのことで、普段から様々なテーマを扱った「パワポ解説動画」を投稿しているが、今回、ふと思いついて懐かしの多摩地域をテーマにしたのだという。

そんなトヨマネさんが作った今回の動画の背景にあるのは、もちろん多摩地域への批判などではなく、多摩愛!別の投稿では「私自身も元多摩の人間であり、多摩のことは(小馬鹿にしつつも)大好きです」と話している。
ユーザーからも寄せられた「多摩愛」情報
――寄せられた情報の中で「これは!」というものは?
西武線の民は新宿よりむしろ池袋に行くこと、青梅市や武蔵野市には042以外の市外局番があることは指摘いただいて補足の補足として掲載しました。
また、古い行政区分に関するコネタを提供くださる方がいらして、多摩(および東京)の歴史を知ることができ興味深かったです!
ありがたいことに多数ご指摘&情報をいただいているので余談の余談をまとめました。やっぱり我々多摩の民は多摩への愛が深いですね~ pic.twitter.com/O17kBLMIo6
— トヨマネ (@be_tymn) August 18, 2020


――大きな反響がありましたが…
多摩の民の多摩に対する愛の深さを感じました。多摩はいいところですね~

多摩地域を“いじった”だけではなく、twitterユーザーたちの中の「多摩愛」も呼び覚ましたこの動画。普段、特別注目していない場所にも、外から見たら思いがけない発見があるはず。
新型コロナの影響で打撃を受けた観光業が、再び活気を取り戻すべく動き出している今、改めて“ご当地”の魅力を探してみるのもいいもしれない。
【関連記事】
高知県でお寿司を買ったら“ケミカルようかん”が入っていた...地元では当たり前?詳しく聞いた
「引く」の間違いじゃなかった…JR青森駅の看板が“らしい”と話題なので設置理由を聞いた