お寿司にようかん!?高知の食文化が話題

帰省したときの楽しみの一つといえば、地元ならではの食文化。郷土料理や実家の“おふくろの味”を味わうことで、故郷に帰ってきたことを実感する人もいるのではないだろうか。

こうした中、高知県の一風変わった食文化が注目を集めている。高知といえば「カツオのたたき」も有名だが、今回の主役はなんと「ようかん」だ。

高知県のスーパーで寿司を買ったら、ケミカルすぎる羊羹が入っていたのですが、これが高知人の日常なのですか・・・?

Twitterユーザーの遊郭部(渡辺豪)(@yuukakubu)さんが、高知県のスーパーでお寿司を買ったところ、そこにはようかんが入っていたという。「寿司盛合せ(ヨーカン入)」と書かれたパックには、おいなりや巻きずしと一緒に、半透明でピンク色の物体が潜んでいる。

お寿司のパックをよく見ると...
この記事の画像(5枚)

遠目だとかまぼこのようにも見えるが、よく見ると確かにこれはようかんだ。しかし、ようかんと言えば茶色のイメージがあるが、「ケミカルすぎる」とのコメントのように、こちらは半透明のピンク色だ。
 

鮮やかなピンク色のようかん

お寿司とようかんが共存する光景を不思議に思う人も多いだろうが、実はこの食文化、地元では当たり前だという。遊郭部さんの投稿は、4万以上のいいね(8月18日現在)を集めるなど注目されたが、知らない人と知っている人で反応にも違いがみられた。

・知らない人の反応
「このピンクのはなんですか?と聞こうとしました。羊羮なんですか?!食後のデザート?」
「ガリじゃなくて羊羹が入ってるって事かな?」

・知っている人の反応
「日常ですね。田舎に帰ると遭遇頻度もあがる」
「おせちとかにも入りますね 高知以外ではないのかな…」

なぜ、寿司パックにようかんを入れるが高知県では当たり前なのか?そしてようかんがケミカルなピンク色の理由は?
高知県の郷土料理を研究する「土佐伝統食研究会」の会員である、三谷英子さんに伺った。

ソウルフードの一つかもしれない

――お寿司と一緒にようかんを入れるのは、高知県では普通?

高知県以外の人は奇妙に思うかもしれませんが、地元の人間には違和感はありません。入っていたらうれしいという感じです。県民のソウルフードの一つかもしれないですね。

――ようかんはどんな味がするの?

甘いのが一般的です。昔は小豆に小麦粉や砂糖などを加えて蒸した、蒸しようかんでしたが、現在は寒天に甘味料や着色料などを加えて、固めたものが多いです。業者が製造しているものだと思われます。赤色だけではなく、緑色や白色、三色などさまざまな色のようかんがあります。

――この食文化はどこからきている?

高知県には、皿鉢料理(さわちりょうり)という郷土料理があり、これがベースになっていると思われます。皿鉢料理は大皿に、お寿司や揚げ物や煮物など色んな料理を盛りつけたもので、宴会のときなどに食べられます。この大皿には、必ず甘いものも入れるのが決まりで、そこにようかんを盛りつけることが多いのです。

これが皿鉢料理。宴会などの場でよく食べられるという

甘いもの=最高のごちそうだった

――甘いようかんを入れる理由は?

複数の理由があります。昔は甘いものは最高のごちそうで、特に昭和時代、高知県の山間部だと砂糖は憧れの味でした。それをふんだんに使ったようかんを盛りつけることで、おもてなしの心を表したものと考えらえます。このほか、皿鉢料理は懐石料理を一皿に集めたようなものなので、懐石料理の食後に甘味がつくことも影響しているでしょう。

――ようかんに鮮やかな色彩をつけるのはなぜ?

恐らくですが、現在のようなようかんが出始めた、昭和時代のとき、ニッキ水(清涼飲料水で駄菓子の一種)などが流行した名残ではないでしょうか。ニッキ水には着色料が使われていて、赤や緑などの鮮やかな色が特徴でした。皿鉢料理やお寿司などは、目で見て楽しむところもあるので、華やかさを彩るために鮮やかな色を選んだのではないでしょうか。

画像の左下にあるようかんは三色

――他の料理にもようかんを入れることはある?

幕の内弁当などのお弁当にも、入っていることがあります。ようかんではなくでも、きんとんなどの甘いものが入っていることが多いですね。

高知の郷土料理店などで食べられる

――他の自治体でこうした食文化はある?

別のお皿で甘味を出すことはありますが、他の料理と一緒にようかんを盛りつけたり、お寿司のパックに入れるという話は聞かないので、めずらしいと思います。他の自治体でも、高知の郷土料理などを扱うお店やアンテナショップで頼めば、食べられると思います。

――珍しい食文化だと話題になっているが?

高知県は古い文化が残っているところなので、地元の人が気付かないことに注目してくれるのはうれしいですね。新型コロナウイルスの影響で、みんなで料理を囲むことも難しい状況ですが、食の文化や歴史が消えないよう、私たちも頑張りたいと思います。コロナが収まったとき、高知県に行きたい、料理を食べてみたいということにつながればいいなと思います。

 

料理のすぐ横にようかんがあるという構図は、アンバランスに見えるかもしれないが、そこにはおもてなしの心が隠れていた。甘いものも入れるのが決まりだという高知の郷土料理、皿鉢料理がベースになっていて、鮮やかなピンク色も華やかさを演出するためのものだった。

今年はコロナ禍で旅行に行けない人も多いと思うが、高知の郷土料理を食べるときは、ようかんに注目してみるのも楽しみ方の一つかもしれない。
 

【関連記事】
みかん…じゃなくて和菓子だよ! 食べたら脳がパニックになりそうな職人の再現力が凄い