奥能登豪雨の発生から2週間あまりが経過しても、現地には災害の爪痕が今も生々しく残っている。甚大な被害をもたらした豪雨災害のメカニズムについて、地理学が専門で地域防災にも詳しい金沢大学の青木賢人(たつと)准教授に聞いた。

「山のダメージ」で被害拡大か

金沢大学(地理学)の青木賢人准教授:
基本的にはとんでもない雨が降ったんだと。これまで能登では経験したことのない『既往最大』、これまでで最大の雨が降ったという事が、豪雨災害そもそもの大きな要因になっていると思います。

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今回の奥能登豪雨によって輪島では24時間(最大)で412ミリ、珠洲では315ミリの降水量を観測。いずれも観測史上1位となった。

金沢大学の青木准教授:
雨が降ると山にたくさん水が入りますから、それだけでも山が崩れることがあります。また川に流れ込んだ土砂が、川の水と一緒に流れてきて下流の川であふれ、土砂災害になることもあります。また水が川から溢れて浸水被害というのが起こります。

さらに青木准教授は、能登半島地震による『山のダメージ』が被害を増幅させたと指摘する。

金沢大学の青木准教授:
1月に大きな地震があり、『すでに山が崩れていた』『すでに木が倒れていた』『すでに川の中にたくさんの土砂が出ていた』という状況下で強い雨が降ったことで、おそらく通常、雨が降った時以上にたくさんの土砂が流れ、たくさんの木が流木となって流れ、そして、多くの土砂や多くの流木が街中にあふれてきたというような状態になったんだろうと思っています。

奥能登の豪雨…被災した現場では何が?

青木准教授は5日、輪島市の名舟漁港周辺で現地調査を行った。

金沢大学の青木准教授:
これが流れてきた土砂ですね。

こちらでは、近くを流れる谷内出(やちで)川が運んできた大量の流木が、河口付近の橋を塞いでしまっていた。

輪島市名舟漁港
輪島市名舟漁港

その結果、橋の手前では…

金沢大学の青木准教授:
行きようがなくなった水と土砂がここ一体にダムになってグワーッと積みあがって…。この分まで上がっているので1mちょっと上がってる。

画面右が橋を塞いだ流木。その左側が、行き場を失い橋の横にあふれ出た土砂だ。土砂と流木は、周辺の民家を押し流しながら海へと抜けていった。

金沢大学の青木准教授:
想定を超える規模の雨が降ってしまったことで、砂防堰堤も護岸もあまり機能を果たすことができなくて非常に大きな被害がここでは出てしまった。地震がなければ、こんなに崩れなかったかもしれないし、こんなにえぐれなかったかもしれないという事は十分考えられると思います。

教訓を今後に生かすには…

さらに青木准教授が指摘するのは、今回の豪雨で浮かび上がった大きな課題。

金沢大学の青木准教授:
この場所は川の規模が小さいので洪水(浸水)ハザードマップの対象外の河川です。また土砂災害ハザードマップで見ると、周りの『がけ崩れ』は指定対象になっていて、この川自体が土石流を出すという想定にはなっていなかったんです。結果的には『盲点』みたいになったところで、非常に深刻な土石流が発生して大きな被害が出たという状態になっていると思います。

今後も起こりうる豪雨災害。青木准教授は中小河川についてのハザードマップ作りが急務だと
指摘する。

金沢大学の青木准教授:
より多くの河川のハザードマップ作りを急ぎたいところですし、住民に向けた周知もしっかりしていかないといけないと思います。また、こうした小規模河川の土砂の動き、土石流に関しては
もう少し見直していくことが必要なのかなという気がしています。

(石川テレビ)

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