自民党総裁選は、石破・高市・小泉の3氏が激しく争っており、議員票では小泉氏がリードしているが、党員票では石破氏が全国的な支持を得てトップとなっている。
議員票と党員票を合わせると、3氏のうち2人による決選投票となる公算が大きくなっている。
小泉氏が決選投票見据え麻生副総裁に支援要請
自民党の総裁選挙は、石破茂氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏の3人が激しく争っている。

27日の投開票を前に、FNNが最終盤の情勢を分析したところ、国会議員票では、小泉氏が60人前後、石破氏と高市氏が40人前後まで積み上げ、ほかの候補をリードしている。
一方、党員票では、東京や島根などを中心に全国的に支持を広げた石破氏がトップに立っている。
議員票と党員票を合わせると、石破・高市・小泉3氏の激しい争いで、このうち2人が決選投票に進む公算が大きくなっている。

こうした中、小泉氏は麻生副総裁と会談し、小泉陣営によると、決選投票を見据え支援を要請した。
東京・千代田区で午後2時半ごろ、小泉氏は「1人でも多くの方にご支援のお願いをすることは、当たり前のことだと思います。有力者イコール改革派ではないというのは、まったく違います」とコメントした。
決選投票では国会議員票が重要に
27日に迫った自民党総裁選をめぐって、決選投票も見据えた攻防が激化している。
ここからは、フジテレビ・高田圭太政治部デスクが解説する。

フジテレビ・高田圭太政治部デスク:
議員票の今の情勢を見ると、小泉氏が60人前後でトップ、石破氏と高市氏が40人前後、小林氏、林氏が約40人、茂木氏が30人台半ば、河野氏が20人台半ば、上川氏、加藤氏が約20人となっています。ただ、まだ40人が投票先を決めていない状況です。
議員票と党員票を合わせると、最初の投票では誰も過半数を取れず、石破氏・小泉氏・高市氏の3候補のうち、2人が決選投票に進むことが確実な見方となっています。
遠藤玲子キャスター:
ーー1回目の投票では国会議員票の比重は5割ですが、決選投票では約9割になるので、国会議員票が大切になってきますよね?

高田政治部デスク:
決選に残らなかった陣営の大物がキーパーソンとなります。特に、仲間に事前、あるいは直前に呼びかけてまとまった票を動かすことも可能な、岸田首相、菅前首相、麻生副総裁、茂木氏、世耕氏の動向がカギを握ります。
世耕氏は、政治と金の問題で離党していて投票権はありませんが、世耕氏がトップを務めていた参議院安倍派が数十人の規模を誇っているため、最後の決選投票で影響を与えるのではないかとみられています。
さらに、1回目の投票で3位になった候補者を支援した人たちがどうするかです。
青井実キャスター:
ーー茂木氏も候補者の1人ですが、決選投票に進まなかった場合は、どこかに投票しなければならないということですね?
高田政治部デスク:
茂木派は、数十票単位で票を動かせるということになります。
決選投票の3通りのケース
遠藤キャスター:
各キーマンがどう動くのか、3通りのケースを見ていきます。まず1つ目、党員票が伸びているとされる石破氏と高市氏の戦いになった場合です。

高田政治部デスク:
3位になる小泉氏に入れた票の動きが注目されますが、まず小泉陣営の大物・菅氏は、小泉氏を支援する前には石破氏のことも評価していました。そのため、小泉陣営の票のうち、菅氏に近い票や選択的夫婦別姓などの改革に賛成の人は、石破氏に流れる票が多いとの見方ができます。
そして、多くが林陣営にいる旧岸田派ですが、高市氏よりは石破氏の方が思想信条的に近いとの見方があり、旧岸田派の票は石破氏に流れる割合が高いとの見方が多いです。一方、麻生氏は石破氏とも高市氏とも近い仲ではないんですが、特に石破氏との因縁は深く、保守的な政策は高市氏との方が親和性が強いので、高市氏の方を支持するのではとの見方が強いのが現状です。
また茂木氏は、非常に難しい判断を迫られますが、石破氏はかつて茂木派の前身を抜けた過去があり、2人はかなり疎遠なので、高市氏の方に近いとの見方がありますが、最終的にどうするかは、まだ見えません。そして世耕氏が影響力のある参院安倍派は、高市氏を推すとの見方が有力になっています。このように見ると、かなり勢力が拮抗(きっこう)していて、どちらが勝つかまったく分かりません。
遠藤キャスター:
政治ジャーナリストの田崎(崎はつくりが「立」)史郎さんは、高市氏が有利とのことです。そして、キーパーソンは麻生氏ということです。
青井キャスター:
ーーいろんな見方がある中で、ということですね。
立石修フジテレビ解説委員室長:
ーー参議院の旧安倍派は、40人程度いるということですが、これが一致して動くと見られているのでしょうか?
高田政治部デスク:
完全に一致ではないですが、高市氏の議員票が伸び悩んでいる中で、後押しとしては大きな存在になると思われます。

遠藤キャスター:
2つ目は、石破さん対小泉さんの戦いの場合です。
高田政治部デスク:
岸田氏は、やや石破氏寄りではあるものの、岸田氏の側近の木原副長官が小泉陣営にいるため、票が割れる可能性もあります。また麻生氏は、小泉氏寄りではないかとの見方があります。菅氏は当初から小泉陣営ですし、茂木氏はやや小泉氏の方になびいているのではないかとの見方が出ています。
世耕氏は、もともと森氏が小泉氏が支持をしているため、小泉氏寄りではないかと見られています。
高市氏支持の勢力の動向は読みづらいですが、この組み合わせの場合は、小泉氏の議員票の強さが発揮され、小林鷹之陣営の若手にも小泉氏と近い議員もいるので、小泉氏が有利ではないかとの見方が多いです。
高市氏と小泉氏は互角
スペシャルキャスター パトリック・ハーラン:
ーー高市氏が、どちらにつくかは重要ではないのですか?

高田政治部デスク:
なんとも言い切れないところもあります。高市氏は、選択的夫婦別姓では小泉氏と距離があります。ただ、シンパシー的に石破氏の方にもないので、かなり自主投票に近くなる可能性があります
遠藤キャスター:
政治ジャーナリストの田崎史郎さんは、小泉氏が有利。キーパーソンは、茂木氏と話しています。
高田政治部デスク:
この対決でも、石破氏が党員票を多く取った場合は、次の選挙への期待感から石破氏に票が流れる可能性もあるため、党員票がカギを握っています。
遠藤キャスター:
3つ目は、高市氏対小泉氏の戦いの場合です。

高田政治部デスク:
これも非常に難しいです。石破氏を支持する議員は、小泉氏との親和性の方が高いとみられます。一方、麻生派は、小泉氏と近い河野氏らを除けば、高市氏の方を応援するのではないかとの見方が強いです。
また小林鷹之陣営は、保守系議員は高市氏、若手リベラル系は小泉氏に割れるでしょう。となると、茂木派、旧岸田派、参院安倍派などの票が勝敗を分ける可能性が高いです。この組み合わせも非常に読みづらいと思います。

遠藤キャスター:
政治ジャーナリストの田崎史郎さんは、このケースでは互角。そもそもどちらになるか分からないので、キーパーソンは挙げられないということでした。
スペシャルキャスター パトリック・ハーラン:
ーーこの場合、石破氏はどちらにつくのでしょうか?
高田政治部デスク:
政策的には小泉氏の方に近いため、小泉氏が有利かと思われますが、まだ予断を許さない状況です。しかし、小泉氏が決選投票に上がってくる場合は、党員票でも健闘した場合かと思われるので、小泉氏は党員からも比較的支持されていることが、選挙への安心感につながる可能性もあります。
決選投票になった場合の投票先については、どの陣営も前日までに決めているのではないかと思われます。しかし、党員票は、当日まで分からないため、それを受けて、ブロックサイン、もしくはメールなどの手段を使って、まとまって動くこともあるのではないかとみられます。
スペシャルキャスター パトリック・ハーラン:
ーーキーパーソンがまとまった票を動かす力があると考えると、派閥解消を訴えながらも、刷新していないようにも見えますよね?
高田政治部デスク:
確かに、そのようにも見えますが、議員としては派閥ではなく、政策を実現するためにという理屈があるのも事実です。
青井キャスター:
ーー投票は27日ですが、まだ水面下でギリギリまで交渉するのですか?
高田政治部デスク:
これからが最終的な話し合いとなるため、いろいろな情報が交錯しているのではないかとみられています。
(「イット!」 9月25日放送より)