広島市内にフェンシング専用の練習施設が新しくオープンした。パリ五輪金メダリストの加納虹輝選手もかけつけ、子どもたちに世界一の技を披露。「超シンプルなルール。だからこそ奥が深い」と競技の魅力を伝えた。
「オリンピックを目指せる競技」
9月22日、広島市西区に完成したフェンシング専用の練習施設「ALETA(アレッタ)」。

試合用の長さ14メートルの本格的なコートを備え、初心者には道具も貸し出している。技術レベルに合わせて誰でもフェンシングを体験できるのが特徴だ。オープン初日、パリオリンピック・フェンシング男子エペ個人金メダリストの加納虹輝選手が子どもたちに本番さながらの“剣さばき”を見せた。

加納選手は「フェンシングは競技人口が少ないこともあり、オリンピックを目指せる競技。フェンシング自体が魅力ある楽しいスポーツなので、ぜひフェンシングを始めて一緒にやれたらなと思います」と呼びかける。

利用した中学生は「施設がきれいで、とても楽しい。加納選手は動きが速くて突きが正確なのがすごい」と目を輝かせていた。

また、「こういう気軽にできるところに通って、もっと自分の練習時間をとって上手になりたい」と話す高校生もいた。
金メダリストに子どもたちが挑戦
この練習施設はフェンシングになじみがない人のために、柔らかい剣など初心者用のグッズも多くそろえている。

子どもたちは柔らかい剣をにぎり、金メダリストと熱い戦いを繰り広げていた。年齢や技術に関係なく安全に始められるのがフェンシングの特徴の一つ。テレビ新広島の五十川裕明記者も加納選手の胸を借りてフェンシングに挑戦!

金メダリストと向き合い、剣を構える。ところが、なんと開始わずか1秒で胴体を突かれポイントを奪われてしまった。
「何もしていない」とまったく手も足も出ない五十川記者。フェンシングは剣で胴体部分を突けば得点になるスポーツ。ポイントを取ろうとがむしゃらに動くが…
「前にいけない。あ~、かいくぐろうとしてもダメだ。私はめっちゃ動いているのに、加納選手はほとんど動いていない。どうしてそんなに無駄な動きがないんですか」
まわりの子どもたちが「がんばれー」と声援を送ってくれたが、五十川記者の胸に“優しい突き”が入った。まさに金メダリストの技!加納選手につけ入るすきは一瞬たりともなかった。

このように初心者でもすぐに夢中になれるのがフェンシングの醍醐味。加納選手は競技の魅力について「突いたら勝ちという超シンプルなルール。だからこそ奥が深くて、先に突けばいいというものでもないですし、行けばカウンターでやられたり…。その奥深さが面白いところですよね」と話す。

ALETAの津江知典社長は「加納選手がメダルをとったからこそ、いま盛り上げないと。廃れていかないようにどんどん盛り上げていきたいなと思っています」と意気込みを語った。
まずは気軽に始められる場所を提供し、広島から第二の加納選手の育成を目指している。
(テレビ新広島)