神戸市メリケンパークの人気オブジェ「フィッシュダンス」が、多額の修繕費を理由に存亡の危機にある。
この作品は、市民に愛されるシンボルだが、サビによる劣化が進み、倒壊の危険も指摘されている。

サビによる劣化が進む…大災害で倒壊の恐れも

兵庫・神戸市民の“心のよりどころ”ともいえるあるオブジェが今、存亡の危機に陥っている。
港そばの観光スポット・メリケンパークにある魚がはねるような姿をした、その名も「フィッシュダンス」だ。

サビのついた「フィッシュダンス」
サビのついた「フィッシュダンス」
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魚のオブジェは、身長167cmの記者と比べてみても、かなり大きいことが分かる。

迫力あるその姿を、市民や観光客が次々と写真に収めている人気の作品だったが、表面には赤茶色のサビがびっしりとついていた。
この事態に、管理する神戸市はオブジェの撤去も選択肢に入れているという。
その理由は、修繕費用にあった。

1987年に完成した「フィッシュダンス」
1987年に完成した「フィッシュダンス」

1987年に完成し、大震災後の復興も見届けてきた「フィッシュダンス」。

市民は「待ち合わせ場所とか、ここを目印に。ここでお見合いパーティしたことある」と思い出を語った。

設計者は、ルイ・ヴィトン財団美術館なども手がけた建築界の世界的巨匠フランク・ゲーリー氏だ。

頭の方が赤くさびたオブジェ
頭の方が赤くさびたオブジェ

しかし、今の様子を見てみると、本来ならば白い色をしているが、頭の方がかなり赤くさびていた。

2009年に撮影された画像からは、それほど目立つサビは見られなかったが、2022年の画像を見ると表面がはっきり変色していた。

現在、オブジェを管理する神戸市によると、今後大災害が発生すると倒壊の危険性もあるとして、新たな改修が必要だという。
しかし、試算された費用は8000万円にのぼるため、撤去も選択肢に入れているという。

専門家は作品の存続を訴える

“神戸のシンボル”を残すべきか否かについて、市民からは「8000万円はかかりすぎ。なくなっちゃっても仕方ない」、「8000万円だが、ぜひ残してほしい。クラウドファンディングがあったら募金する」、「市がちゃんと維持しなかったんだよね。定期的にメンテナンスするとか」と言った声が上がった。

建築界の世界的巨匠フランク・ゲーリー氏の作品
建築界の世界的巨匠フランク・ゲーリー氏の作品

美術建築物の専門家は、“世界的巨匠が手がけた日本に唯一の作品”という価値の高さから、作品の存続を訴えている。

神戸大学大学院 工学研究科・末包伸吾教授は、「神戸市民がやっぱり誇りに思えるようなものの1つ。それをもっときちっとPRして、啓蒙(けいもう)していくことが大事」と語った。

神戸市は、「市民の意見をふまえて将来を見据えて、改修を行うかどうか検討したい」とコメントしている。
(「イット!」 9月24日放送より)

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