「工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている」などと学歴差別ともとれる不適切な発言を受けて、議会から不信任決議案が出された新潟県上越市の中川幹太市長。決議案は否決されたものの、一般質問で再び議員から追及される場面が見られた。難しい議会運営・市政運営が続く中、中川市長が市議会で語った続投を決断した理由とは。
不信任決議案は『否決』も…市長への追及続く
9月定例会初日に中川幹太市長への不信任決議案を提出した上越市議会。

決議案は否決されたものの、9月18日に始まった一般質問では、市議から「こうした状況で市長と建設的な議論ができるのだろうか、私は非常に考えさせられる」「すでに市政の停滞が様々なところで顕著にあらわれ、市政は深刻な事態になっている」などと市長を追及する場面が…

問題の発端となった6月の議会での中川市長の「工場では高校卒業程度のレベルの人が働いている」という学歴差別ともとれる不適切な発言をめぐり、上越市には9月17日までに429件の意見が寄せられ、このうち394件が厳しい意見で、応援する意見は35件だったという。
続投の理由は…「応援の声に応えたい」
議会から辞職勧告や不信任決議案が出されても、続投を決断した中川市長。18日の議会では、その理由について言及する場面も見られた。

「市政発展のため、市長としての重責を果たしていかなければならないという思いもあり、自問自答を繰り返してきた。公務の中で、お会いした市民の方々から『これからも政策を着実に前に進めてほしい』『応援しているから市長を続けてほしい』といった期待や励まし、市政への継続を望む言葉を直接かけていただくことがあった。電話やメールで厳しい声が市内外から来ている状況においても、私を応援してくださる方々がいてくださる。その方々のご期待に少しでも応えたいという思いが日増しに強くなる中で、覚悟と決意を持って市長として職責を全うしたいと考えを固めた。政治家が自身の進退を決断する際の判断材料は、人それぞれだと思うが、今回、私が決断をするに当たっては、一つのきっかけや決定的な要因があったということではない。批判の声、応援する声どちらが多いということではなく、それぞれの声をお聞きし、しっかりと受け止めた上で、私自身が決断したものである。多くの皆様からの厳しい声を厳粛に受け止めつつ、自らを律し、猛省と戒めの思いを常に心に留めながら、上越市の発展のため、全身全霊を捧げていく所存でありますので、ご理解を賜りますようよろしくお願いします」
一方で、市議から「今度また同じような発言をしたら、即辞職という考え方でよろしいか」との問いに対し、中川市長は「今回のことを重く肝に銘じながら、不退転の決意で職責を果たしていくということだと考えている」と、明言は避けた。
6月の不適切発言から、今もなお釈明に追われている中川市長。市政を発展させたいとの決意とは裏腹に、市議会との溝は深まるばかりだ。こうした状況が続く中、自らが望む市政は実現できるのだろうか。
(NST新潟総合テレビ)