将棋界に新たな歴史が刻まれる

8月20日、将棋界に新たな歴史が刻まれた。その瞬間が訪れたのは、午後5時。

木村一基王位:
参りました

藤井聡太棋聖:
ありがとうございました

将棋の王位戦第四局2日目が20日、福岡市の大濠公園能楽堂で開かれ、藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)を破り、王位を獲得。史上最年少棋聖王位二冠を達成した。

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この七番勝負、藤井棋聖は3連勝中とは言え、相手は驚異的な粘りが持ち味で“千駄ケ谷の受け師”との異名を持つ木村王位。油断は禁物だった。

勝てば、羽生善治九段の最年少二冠記録(21歳11カ月)を28年ぶりに更新。さらに、加藤一二三九段の最年少八段昇進記録(18歳3カ月)を62年ぶりに塗り替えることになっていた。

午前8時45分、先に対局室へと入ったのは藤井棋聖。プロデビューから約3年半。当時はあどけない表情だったが、数々の記録を打ち立てた今は貫禄も十分だった。

大胆な封じ手から対局が始まる

そして始まった20日の対局。

立会人:
封じ手は藤井棋聖 「8七同飛成」

注目の封じ手は、大駒の飛車を捨てて相手の陣に切り込む驚きの一手。藤井棋聖らしい、大胆な攻めを予感させた。

解説:
強いから勝つのではなく、指しながらより強くなる。一番手ごわいですよね

解説:
無敵ですよね

この一手から、戦いは藤井棋聖が押し気味に展開。アイスコーヒーを飲みながらも、その視線は将棋盤に向いていた。

解説:
こちらで感じているより、現場の対局中の空気はすごいらしいですね

解説:
かなりピリピリしていたと…

両者は昼休憩に...勝利を期待する声も

攻める藤井棋聖がやや優勢のまま迎えた昼休憩。2日目の勝負飯は、藤井棋聖が地元福岡産高菜ピラフウーロン茶

一方の木村王位は糸島ポークカツカレーと、いずれもご当地メニューをセレクトした。

藤井棋聖の地元、愛知・瀬戸市ではこのような声も寄せられていた。

藤井棋聖のファン:
全力で戦ってもらえばそれで…

藤井棋聖のファン:
二冠決まるかもしれないので、藤井君の出身地の瀬戸市で見たいなと思って。期待いっぱいですねもう

福岡市内の将棋用品店では、藤井棋聖の勝利に期待してセールの準備が進められていた。

額縁・囲碁将棋用品店 かねしょう 中西泰弘社長:
ぜひきょう勝っていただいて、福岡の将棋の話題も盛り上がればいいかなと…

対局後に両者が語った言葉

木村王位を攻め続けた藤井棋聖は、優位を保ったまま終盤の戦いへ。

解説:
ここはすごい大事な局面なんだと。あと30分くらい考えたい気持ちが、木村王位の方にあるかもしれないんですけど…

そして80手目。

木村一基王位:
参りました

藤井聡太棋聖:
ありがとうございました

対局を終えた二人は、それぞれこのように語った。

藤井聡太棋聖:
自分にとっても初めての2日制の対局でしたし、その中で自分としてもいろいろ得るものがあったかなと思います。4連勝という結果は、自分の実力以上の結果が出たのかなという気がします

木村一基王位:
ストレート負けは恥ずかしい限りで、申し訳ないと思っております。また一から出直します

Q:ストレート負けの要因は?

木村一基王位:
わかりません。うちに帰って反省します

藤井棋聖は4連勝で、王位のタイトルを獲得。さらに八段昇進を決めた。この戦いはどうだったのか。プロ棋士の中村太地七段にお話を聞くと...

中村太地七段:
2日制の対局での封じ手の一手(8七同飛成)で、きょうの朝、指された一手になります。かなりリスクも高いと思うんですけど、藤井棋聖はこれでいけると...

史上最年少での二冠達成と八段昇進という、2つの記録更新に町の人は...

街の人:
えー‼勝ちました!?若い人がトップを駆け抜けるってすごいことだなと。何事においてもすごいことだなと。尊敬します。

愛知県の地元は偉業達成に歓喜

加藤綾子キャスター:
藤井棋聖の地元盛り上がっているのでしょうか。愛知県瀬戸市の商店街から伝えてもらいます。

森夏美アナウンサー:
祝福ムードに包まれました。藤井棋聖の地元、愛知県瀬戸市です。勝利が決まったのは5時ごろでした。こちらの商店街では、その瞬間「おお」という大きな声が通り中に響きわたり、鳴り止まない拍手に包まれました。勝利を祝福するくす玉も割られました。訪れた人たちで万歳も行われ、マスク越しでも皆さんの笑顔が伝わってくるようでした

森夏美アナウンサー:
また、こちらに掲げられているのは懸垂幕です。商店街の地元の皆さんが昨日(19日)手作りしたそうなのです。昨日から皆さんが藤井棋聖の勝利を強く信じていたことがわかります。イラストは五角形になっていまして、将棋の駒を表しています。気温かなり暑い中でしたが、勝利の熱というのはぐんぐんと上昇しています。二冠達成に沸く藤井棋聖の地元、愛知県瀬戸市からでした

加藤綾子キャスター:
ありがとうございました。風間さんはいかがでした?思ったよりも早く決着がついたなという気がしませんか?

フジテレビ 風間晋 解説委員:
木村王位といえば、千駄ケ谷の受け師じゃないですか。受け、守りを得意とする方なんですけど、その得意とする将棋をさせてもらえなかった印象なんですよ。つまり、藤井棋聖が相手の強さを消すような指しまわしをしてみせた。そこに凄みを感じましたね

加藤綾子キャスター:
指しながらどんどん強くなるとVTRにもありましたけど、一体どこまで強くなるのでしょうか

(「Live News it!」8月20日放送)