国スポの佐賀代表としてハンドボール成年女子に出場するチームが注目を集めている。3年前までは部員5人と試合もままならない弱小チームだったが、8月の全国大会で初出場ながら優勝と大躍進。国スポ上位を狙う。
初出場で全国制覇の大躍進
佐賀・神埼市を拠点に活動するハンドボールチーム「佐賀クラブ」。

2024年8月、滋賀県で開かれた全国大会では初出場ながら日本一に輝き、いま躍進している注目のチームだ。2024年10月に開かれる「国民スポーツ大会」にはハンドボール成年女子の佐賀代表として出場する。

「佐賀クラブ」の選手は20代から40代の15人。全国優勝で波に乗っているが、チームが成長するまでには大きな苦労があった。
3年前は部員5人の“弱小チーム”
ハンドボールは、ゴールキーパーを含め7人で行うスポーツ。しかし、3年前は部員わずか5人という試合もままならない弱小チームだった。

田中茜選手(入部8年目):
勝ちたい気持ちはすごく強かったんですけど、人手不足で勝てない悔しさが続いていました

部員が少なかった当時を知る田中茜選手は、「今ほどみんな仲が良いというか、ワイワイできている雰囲気ではなく練習をしていた」と話す。現在とはチームの雰囲気もずいぶん違っていたようだ。
試合に助っ人で臨んだ時期も
また、キャプテンの亀川雅選手も「助っ人を借りてぎりぎりの状態で試合をしていました。勝てたら奇跡のような感じでした」と以前の苦労を語る。

チームに大きな変化があったのは2023年。富山県の実業団でプレーしていた岩見春海選手の加入や、レッドトルネードSAGAの元選手中本和宏さんの監督としての就任だ。

岩見春海選手(元実業団選手):
トップを目指しているところから来ると、ハンドボールの知識や経験で少しギャップがあったんですけど、みんなが今まで知らなかったところをたくさん知ろうとするところがあって、スキル的なところで判断力の幅が広がったのかなと思います
練習は“明るい笑顔で真剣に”
そして、中本和宏監督はチームの強みをこう話す。
中本和宏監督:
一番(の強味)はみんな元気がよく、仲が良いところが良いと思います

練習中に笑い声が響くほど明るいチーム。
一方、プレーごとに練習を止め真剣な表情で意見を出し合う。

亀川雅キャプテン:
年齢差があるんですけど、みんなが言い合える環境っていうのを大事にしているので、とても良いチームだと思う

戦術面での強みは「堅守速攻」。得点を奪われた後や相手のミスがあれば、素早いパス回しで、全員がゴールへと向かう。亀川キャプテンも「ディフェンスから速攻まで走ることを大事にしているので、そこが強みと思います」とチームの持ち味を説明する。
仕事との両立…限られた練習時間
一方、チームの課題もある。
「佐賀クラブ」の選手たちは、ほぼ全員が働きながらハンドボールに打ち込んでいる。そのため、同じ日に全ての選手が集まることが難しいのが現状だ。

キャプテンの亀川選手の仕事は小学校の教諭。夏休み期間のある日、5年生の算数の授業準備などをしていた。
全ての選手が集まりにくいという課題を克服するための工夫も必要だという。

亀川雅キャプテン:
団体競技なのでフォーメーションや決められたことを共有するのが難しい。1人がそのポジションだけじゃなくて、そのポジションにこだわらずに、いろんな人がいろんなポジションをしてカバーしている

もう一つの課題は練習時間の確保。練習できる体育館が限られているため、練習時間の確保が難しいという。
亀川雅キャプテン:
ジュニアも体育館を使っていて(使用できる)時間が限られているので、最初はウエイトをして練習をしています。自主練したりジムに行ったりしている選手はたくさんいます
練習時間が限られる中でチームが強化しているのがシュート。

枝と呼ばれる相手ディフェンスのブロックとキーパーの延長線上からシュートを放つことでキーパーの死角からゴールを狙う。堅い守りと速攻に加え、死角から放つシュートで得点を目指す。
上位を目指して国スポに挑む
部員わずか5人の弱小チームの時期を経て、さらに仕事との両立や練習時間の制約を乗り越え躍進を続ける「佐賀クラブ」。

国スポに佐賀代表として出場するチームのメンバーは「上位を目指す」と意気込んでいる。

亀川雅キャプテン:
国スポでは私たちらしく試合をして5位入賞できるように頑張ります
(サガテレビ)