材料費の高騰など、課題に直面している広島の「お好み焼き店」から、大学生らが悩みをヒアリングして、学生目線で打開策を提案する試みが行われている。グルテンフリーの材料開発やアプリを使ったプロモーションなどのアイデアが出された。
「なり手がいない」のが実感
8月、広島市のある「お好み焼き店」を訪ねたのは、マーケティングを学ぶ広島経済大学の学生たち。15年ほど店を営む店主と業界の現状などについて活発に意見交換をした。
この記事の画像(10枚)お好み焼き 登きやの店主・中村英彰さんから「お好み焼き店を営む1人としての意見だが、おそらくなり手がいない。次にやりたいという方が少ないなと、いま実感する」と意外な話が出た。
また、材料について学生から「粉モノのイメージや小麦粉を使っているお好み焼きのイメージから脱して、グルテンフリーの材料を増やすのはどうでしょうか」といった具体的な意見が出たが…。
お好み焼き 登きや・中村英彰さん:
実際にグルテンフリーの米粉麺を使って試したが、ゆでるとびっくりするくらい量がない。ボリュームが全くでない。
また、中村さんは「日々の営業が専門なので、店の広報の部分はうとくなる。第三者目線で店を客観的に見られていない」とプロモーション面の弱さを自覚している点も強調した。
アプリでプロモ グルテンフリー材料開発
広島市内13店舗を訪ねてヒアリングを重ねた学生たちは、授業で大学生目線のお好み焼き店の活性化策の作成に入った。そして9月10日には、ヒアリングをした一部のお好み焼き店主や「オタフクソース」の社員を前に、つくった活性化の案を披露した。
大学生:
ピーク時の店内の写真・動画があると、店に入りやすくなりますよね
小規模な個人経営の店にお客さんが、入りにくいという課題を解決するため、空っぽではなく賑わっている店内の写真を使用し、お好み焼き店に特化したアプリでプロモーション展開するという案だ。
お好み焼き 登きや・中村英彰さん:
口コミだけで判断される方は、結構多いと思う。店舗内の写真を載せて、それをいいイメージに向けていくのは非常に賛成で、ぜひ実現してほしいくらいの内容だ。
また、ほかの学生は、新たな顧客を獲得するために「グルテンフリー」は欠かせないと提言。麺や天かすなどの替わりとなる材料の開発を提案した。
オタフクソース お好み焼き課・春名陽介 課長:
いくつも米粉を使うレシピを試しているが、食べることができるというだけでなくて、食べて感動する。また食べたいというものじゃないと後世に残っていかないと思うので、そこは思案のしどころだなと思う
学生たちは今後内容をブラッシュアップし、今回協力してもらった店舗にフィードバックしたいということだ。
広島のソウルフード、お好み焼きは、インバウンド客にも人気だが、若い世代のアイデアが、誰もが食べられる新メニューや業界の新しい広報戦略に繋がることが期待される。
(テレビ新広島)