兵庫県 片山安孝前副知事:知事は『第三者機関は時間がかかるよね』という話で、否定されたという報告を受けました。

兵庫県 斎藤元彦知事:第三者委員会について協議をした記憶はない。話には出たかもしれないんですけど。

6日行われたのは、知事と、その「最側近」だった前副知事への証人尋問だ。

食い違った両者の意見。真相の解明につながったのだろうか。

■「独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図」と専門家の指摘

専門家の口からは「独裁者」と痛烈な批判も
専門家の口からは「独裁者」と痛烈な批判も
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今年3月、兵庫県の元西播磨県民局長が斎藤知事のパワハラなどの疑惑を告発し、その後、一部が事実だったことが明らかになったこの問題。

元局長は県の公益通報窓口にも通報していたものの、県は、元局長を懲戒処分とした。

しかし、5日の百条委員会に出席した専門家は、「告発者探し」を行った県の対応について厳しく批判した。

公益通報の専門家 上智大学 奥山俊宏教授:告発文書には法的に保護されるべき公益通報が含まれていることが、今や明らかになってきていると思われますので、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると思います。まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった。

「独裁者」とまで指摘される方法で下された処分。

その内幕を知るキーマンとして、6日午前、多くの報道陣が待ち構える中、部屋に入ってきたのが、片山前副知事だ。

■“最側近”だった前副知事 知事から“犯人探しの指示が出た”と理解したと証言

知事が『第三者での調査は時間がかかる』と否定したと証言した前副知事
知事が『第三者での調査は時間がかかる』と否定したと証言した前副知事

今年7月、片山前副知事はこのように語っていた。

兵庫県 片山安孝副知事(当時):本当に大変申し訳ない。なんで知事を支えられなかったのか、ほんまに私は悔しくてしゃあないですよ。

斎藤知事の「最側近」でもあり、一連の責任をとって今年7月に辞職した片山前副知事。一方で、告発を行った元局長の公用パソコンを回収するなど、処分までの過程に深くかかわった人物でもある。

証人尋問の冒頭、片山前副知事は、告発者探しがなぜ行われたのか問われると…。

兵庫県 片山安孝前副知事:(知事から)こういうものを入手した。『これについて急ぎ調べてくれ』という趣旨だったと思っていますが、その段階での(趣旨は)いちいち確認はしなかったが、『誰が出したのか、どういう目的で出したのか』ということでした。

「徹底的に調べてくれ」。

斎藤知事から“犯人探しの指示が出た”と理解したと証言した、片山前副知事。

さらに、斎藤知事が会見で、告発文について「嘘八百」などと反論した後には、その内容について第三者機関で調査すべきでは、と幹部からの進言があったことも証言した。

兵庫県 片山安孝前副知事:知事の(嘘八百という)非常に大きな発言があった中で、波紋が広がっている中で、彼(当時の総務部長)としては第三者委員会で対応策をしていったほうがいいのではないかと。 パワハラが出てきていましたので、『やっぱり第三者のほうがいいよね』と(当時の総務部長が)知事に言ったけれど、知事は『第三者機関(での調査)は時間がかかるよね』と否定されたと報告を受けました。

一方で奥谷委員長は、片山前副知事が元局長に対して、脅しとも取れる聞き取りを行った音声データがあると明かした。

百条委員会 奥谷謙一委員長:(録音データは)『仲間がいれば仲間もどうなるか分からない』と、一種の人事権をちらつかせた脅しだと私は評価しているが、そういう趣旨で発言されたのですか?

兵庫県 片山安孝前副知事:その時の一つ一つの発言について、厳しいところがあったのは、委員長のご指摘の通りだと思います。

■告発文を「調査して事実でないことを明示するのは大事だと思った」と知事

委員長や各会派の委員から質問が続いた
委員長や各会派の委員から質問が続いた

そして6日午後3時、2度目の出頭となった斎藤知事への証人尋問が始まった。

斎藤知事は、深々と一礼をして会場に入った。

今年3月20日に「告発文」を一般の人から手に入れたという斎藤知事。

百条委員会 奥谷謙一委員長:先ほど片山元副知事の証言では『徹底的に調べてくれ』と言われたと話していたが、間違いない?

兵庫県 斎藤元彦知事:そのように記憶しています。どなたが作成したか、意図も含めて、内容について私が書かれていることも含めて事実ではないことが多いと感じたので、ここはしっかり調査をして事実ではないということを明示していくのは大事だなと思いましたので。

幹部から「第三者委員会での調査を進言された」ことについて問われると…。

兵庫県 斎藤元彦知事:第三者委員会での設置について、具体的に何か提案を受けたり話をした記憶はないです。少なくとも進言を受けた記憶はないです。

■“おねだり疑惑”の贈答品についても続々と質問が

贈答品を受け取ったかの質問に「あると思います」と知事
贈答品を受け取ったかの質問に「あると思います」と知事

また、告発文を書いた元局長を懲戒処分とするまでのやりとりについては…。

百条委 委員の議員:公益通報を待ってから処分すべきと人事課が言っているという進言を聞いたことはないですか?

兵庫県 斎藤元彦知事:私の記憶にはないですね。調査に時間がかかりそうだという報告は受けたことはありますけど、公益通報を待ってからやるべきだという進言は受けたという記憶はない。

百条委 委員の議員:告発者を保護できていないということは、兵庫県の手続きとして瑕疵(かし)があると、違法であると思うが、知事はそういった認識は今でもないですか?

兵庫県 斎藤元彦知事:ありません。

百条委 委員の議員:全くないですか?

兵庫県 斎藤元彦知事:はい。

その上で、「県としてこれまで懲戒処分に関することは法的にも問題なく、手続き等に瑕疵はない」と話した。

一方で、贈答品を受け取った“おねだり疑惑”についても問われた斎藤知事。

Q.姫路城のレゴブロックをほしいと言ったという記述は事実でしょうか?

兵庫県 斎藤元彦知事:ほしいというか、知事室で展示できたらいいなということでお答えしました。

Q.いただいていますか?

兵庫県 斎藤元彦知事:あると思います。

Q.スポーツシューズはいただいていますか?

兵庫県 斎藤元彦知事:当該スポーツメーカーとの中で無償貸与いただいています。

Q.兵庫県の海苔については?

兵庫県 斎藤元彦知事:贈られてきた記憶はないですけど、漁業組合へ行った時にいただいたことはあります。

Q.播州織の浴衣、ジャケット、ネクタイは?

兵庫県 斎藤元彦知事:浴衣は貸与いただいて公務で使っています。

午後3時から始まった知事への証人尋問は、およそ3時間続いた。

(関西テレビ「newsランナー」2024年9月6日放送)

関西テレビ
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