強い台風第10号は、29日正午現在、熊本県天草市付近にあって、1時間に約15キロの速さで北へ進んでいる。中心の気圧は970ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は55メートルで中心から半径110キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっている。なぜ、台風10号は迷走していて、予報が難しいのか…石黒菖気象予報士が解説する。
ノロノロ台風 予報が難しく
台風10号は進路が読めない状況が続いている。

なぜ、こんなに進路が変わりやすいのかというと、カギを握っているのが「上空の偏西風」。
まず、台風は自分で進路を決めることができず、周りの風に流されるように進む。
現在は太平洋高気圧の縁をまわる時計回りの風に流されて進んでいるが、その風が弱い影響でノロノロと進んでいる。 そして、ある程度北上すると、今度は上空で吹く偏西風に乗って流されるので、進路やスピードも変わってくる。
ただ、現在、この偏西風の蛇行が弱い影響で、台風が偏西風にいつ乗るのか、もしくは乗らないのか予報が難しい状況となっている。
台風のルートで変わる影響
台風が予報円のどこを通るかで新潟県内への影響も変わってくる。

本州から離れた日本海側を通るルートだと、フェーン現象の影響で高温になりやすい。
ただ、現段階として考えられるルートは、本州に近い日本海側を通るルートと、新潟県内を直撃するルート、首都圏などを直撃するルート。
台風は進行方向の左側よりも右側のほうが風が強まる傾向があるので、本州に近い日本海側を通るルートだと暴風に。直撃するルートは暴風や大雨の恐れがあり、首都圏などを直撃するルートは、大雨になる傾向がある。
台風が離れていても影響が出る傾向があることを踏まえて備えを。
台風が来ると思って備えを
台風に備えるにあたって、注意してほしいのが“正常性バイアス”。
これは、すぐ目の前に危険が迫っているのにも関わらず、なぜか「自分だけは大丈夫。大したことはないだろう」と正当化してしまうこと。誰でも思ってしまうことがあるが、何かあったあとに「まさか、こうなるとは思わなかった」ということに…。
まだ、予報は絞り込めていないが、「台風なんか来ないだろう」と思わずに「台風が来るかもしれないと思って」備えを。
(NST新潟総合テレビ)