毎日発表される気温は各地の気象台で観測されるのだが、どうやって測っているのかご存じだろうか。普段何気なく耳にする「気温」について以下、粟原一矢気象予報士が解説する。
気象台が気温を観測する方法
先日、金沢地方気象台に行って特別に見せてもらったのが、気温を測る装置だ。直射日光が当たって温度が上がりすぎないように、温度計を金属の容器で覆っていて、地面からの高さは1.5mと決まっている。学校にあった百葉箱と同じ高さだ。中身は、温度計のほか、湿度計も入っている。さらに上の部分ではファンがくるくる回っていて、下から風が取り込めるようになっている。

気象台がどのような条件で気温を測定しているのかというと…
▽高さ1.5m
▽日陰
▽風通しが良い
ざっくり言うと、このようなものだそうだ。
発表される気温より日向はずっと暑い
そこで8月20日、石川テレビの玄関前の日陰に同じ高さで温度計を設置してみた。日中、1.5mの高さの日陰で計測した結果、気温は33.9℃だった。これを日向でも測ってみた。気温は日陰より7.6℃上がって41.5℃となった。日陰の気温が、発表されている気温だとすると日向は、それよりずいぶん高くなることが分かる。

さらにこれを地面に置いて測定してみた。気温はさらに4℃も上がって45.5℃となった。地面からの照り返しがあるので、低い位置の気温はさらに高くなる。小さい子どもたちは、私たちよりも暑い環境で過ごしているのだ。そう考えると子どもたちは特に熱中症に注意が必要だ。それにペットはさらに地面から近い。犬の散歩も涼しい時間帯を選んであげるべきだろう。アスファルトが熱くなっていて、犬の足がやけどしてしまうという話もよく聞く。
馬鹿にできない打ち水効果
さて、夏の高温をどうやってしのいでいけばよいか。ヒントを求めて石川県金沢市のせせらぎ通りにある「香林坊にぎわい広場」を訪れた。夏の間、10分おきに水が噴き出して、8月いっぱい楽しめる。外国人観光客も噴水の下をくぐって楽しんでいた。この噴水は、見た目にも涼しげなのだが、実際に気温を下げる効果もある。ちょうど打ち水をするのと、同じ効果だ。

水をまいた後や、雨が降った後は、地面にたまった水が次第に蒸発していく。水が蒸発するときに、水蒸気が、地面や空気中から熱を吸収してしまうのだ。これを「気化熱」と言う。例えば、お風呂上りに体をふかないと湯冷めをしてしまうのも同じ理由で、体についた水が蒸発するときに体から熱を奪ってしまう。

実際の気温の変化も見てみよう。20日の石川県・珠洲の気温は、昼頃30分ほど降ったにわか雨の後、気温が下がっている。雨が降る前は30℃以上あった気温が、雨と一緒に冷たい空気が雲から下りてきたことで、26.6℃まで一気に下がった。

注目してほしいのはその後の気温だ。雨が降った後、2時間くらい28℃前後の気温が低い状態が続いたのだ。打ち水のような効果が見られていたことが分かる。猛暑の夏に時折降る雨は、気温の観点から言えば“恵みの雨”と言える。
(石川テレビ)