新規感染者数だけで見ないコロナの正しい恐れ方
加藤綾子キャスター:
8月17日の東京都の新規感染者数は161人。そして、全国での感染者が16日時点で5万6132人。重症者は232人という状態です。

元大阪府知事 橋下徹氏:
“新規感染者数だけ出すのをやめましょう運動”を一人でやっているんですけども、決して軽く扱ってはいけないし、油断はしてはいけません。確かに大阪は重症者も増えてきている。だから気をつけなきゃいけないんだけど、1つ見ていただきたいのがこの数字。
出典は『東洋経済オンライン』からですが、4月、5月に話題になった数字である実効再生産数。これは感染者1人がうつす平均人数。1人の感染者が1人以上に移していくとどんどん感染者が増えていく。今、実効再生産数が全国で0.87。東京で0.86。
現在、実効再生産数が1を割っているということは、油断をしてはならないけど、爆発的に増えるような状況ではないということ。
こういう数字もしっかり新規感染者数と同時にリアルタイムで出さなきゃいけないと思う。実効再生産数は、ついこの間まで1.3とか1.4で、これは危なかった。

元大阪府知事 橋下徹氏:
新規感染者数という数字だけ出てくると、「GoToトラベル」「GoToキャンペーン」をやっても、皆がそれをうまく使っていない。「クーポンで半額になりますよ」と言っても、マインドが「旅行に行こう」とか「消費しよう」にならない。みんなビビっちゃうわけ。
確かに油断してはいけないけれども、この実効再生産数とか一番重要なのは、医療体制が崩壊するかどうか。東京都の医療体制の状況は、決して安心はできないけども、まだなんとかギリギリの余裕があるような状況。

元大阪府知事 橋下徹氏:
ただ、(入院か宿泊療養か自宅療養か)1000人超調整中という数があり、調整中というのがまたちょっとややこしくて、調整中を(入院1580人/病床2300床)の分子に入れると一杯になるし、もしかすると余裕を見せるために、調整中ということで数字を弾いているのかわからない。
いずれにせよ、数字をメディアが出すときに、インパクトのある数字ばかり出すと国家国民のためにならないから、新規感染者数も重要だけど、違う数字もしっかり出して、正しく恐れることが重要だと思いますね。

加藤綾子キャスター:
二木先生はどうご覧になりますか?
二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
橋下さんの言うように、少々感染者が増えても医療提供体制が盤石であれば、それほど恐れることはないのです。ただ、今回の第2波は予測したよりもかなり早いタイミングで起こっちゃいましたよね。これはやっぱりちょっとアクセルを踏むのが早かったのではないかなと思うんです。何とかここは少し押さえ込んで、もう1回冬に大きい波が来るので、そこに対して医療提供体制をきちんと整えることを考えていかないといけないのではないかなと思います。

元大阪府知事 橋下徹氏:
実効再生産数は、以前はかなり時間をかけて発表されたが、今は民間もやりだしてリアルタイムで出てきている。「1を割っている状況」というのは決して油断はしてはならないが、爆発的に増えていくという状況ではないという1つの数字にはなるんじゃないですか?
二木芳人氏(昭和大学医学部 客員教授):
おっしゃる通りだと思います。ただ、1つだけ心配なのは、少し検査が不足で、実態が反映されていないところがある。例えば「夜の街」辺りは、検査を積極的にしていないので、この数字も織り込んでいかないといけないかなという気はします。
元大阪府知事 橋下徹氏:
だから、僕はホットスポット・感染地域についてはどんどんやるべきだと思う。必要な所にはどんどんやるべきだと思います。

感染防止対策ステッカーに必要なのは?
加藤綾子キャスター:
感染防止対策ステッカーというのが話題になりましたけど、橋下さんはどうご覧になりますか?私は「都の何もチェック体制がないというのはどうなのかな?」と思ったんですよね。

元大阪府知事 橋下徹氏:
大阪でもやっているんですが、はっきり言って、行政のある意味やってる感を出す責任逃れの話。感染対策ステッカーは、やるんだったらすごく効果あると思う。やるには絶対的な条件が1つあって、ステッカーを出すんだったらその対策を講じているかどうかを行政がチェックしなきゃいけない。
原発の審査というのも結局今まで事故が起きる前は、電力会社の方にいろんなものを出させるだけ。行政がキチッとチェックしてなかったわけで、行政はいろんなものを出させる、ステッカーがある、こういうことで一応やってますよ、ということを見せるだけ。一番重要なチェック・確認を行政がやっていなかった。
今回のステッカーも、東京都の話を聞くと全件チェックしていない。大阪もチェックしていない。数が多いからできない。でも、チェックできないなら、ステッカーを出しちゃいけないと思う。

元大阪府知事 橋下徹氏:
吉村大阪府知事がうがい薬でガンガン叩かれてたけど、小池さんも本当はあの状態なのに小池さんにはみんなあんまり言わない。でも小池さんも吉村さんも僕は元知事としてはわかるんですよ。僕も同じことをやると思うけど、でも出すんだったらチェックしないと。
加藤綾子キャスター:
山梨とか静岡・浜松市とかはちゃんと現地調査とか書類審査やっているんです。
元大阪府知事 橋下徹氏:
そこは東京・大阪から言わせると「規模の問題」なんですよね。

加藤綾子キャスター:
そこに「どれだけ人員を確保できるか」という問題もありますからね。
元大阪府知事 橋下徹氏:
免許証とかでも、チェックせずに乱発をしていたら成り立たないじゃないですか?それは運転技能があるかどうか全部チェックした上で、合格になったから出すわけでしょ?東京も大阪も愛知もそこに切り替えなきゃいけないと思う。
飲食店の不安に必要な行政の対応とは?
加藤綾子キャスター:
そうですね。これからの時代に合わせて、ちゃんと更新してほしいなと思います。こうした中で番組で継続的に取材している飲食店と中継を結んでいます。
海老原優香リポーター:
こちら東京・北区の居酒屋『やきとん大王 赤羽店』にお邪魔しています。篠原店長に話を伺います。今コロナ禍ということでかなり厳しい経営状況にあるということなのですが、橋下さんに聞いてみたいことはありますか?

やきとん大王 赤羽店 篠原裕明店長:
レインボーステッカーは、パソコンで自分でチェック項目を入れて取れるようになっていると思うのですけれど、そういうことに関してはどういうふうに思われていますか?

元大阪府知事 橋下徹氏:
今なぜお店が苦労しているかというと、やっぱり皆が「食べに行こう」とか「表へ食べに行こう」と消費マインドにならない。皆不安になっている。
東京の新宿・歌舞伎町や大阪の難波・ミナミなど危ない地域、危ない業態は(休業要請で)止めて、それから補償もやりながら「他の所は大丈夫ですから安心して下さい」「ステッカーを掲出している所は、ちゃんと確認してますから」と言えば、皆安心感を持って食べに行きますよ。
それが危ない所、ボヤが生じた所は止めない。「皆3密を避けて下さい」「手を洗って下さい」しか言わない。しかも、ステッカーを出しても、店が安全かどうかがわからない。皆お店に行かないですよ。ここはやっぱり政治・行政のミスだと思う。危ない所をしっかり止めて、安全確認できた所はちゃんとステッカーを出す。この繰り返し。
やきとん大王 赤羽店 篠原裕明店長:
そういう風にやって頂ければいいんですけどね。うちなんか、店のサイズも小さいし、ソーシャルディスタンスはほぼとれない状態です。そういうのを考えると、今回のステッカーも取れない店もかなりあると思うんですよ。そういうのはどうしていていいかわからないですよね?
元大阪府知事 橋下徹氏:
それはステッカーを出すときの条件をよく考えて、お店の状況に合わせた対策・条件もやるべきで、行政で全部一律にやるから。小さいお店でソーシャルディスタンス2・3メートルだとお店入らない場合もあるわけだから。
その場合には、どうしたらいいのかということを考えてステッカーを出して、「この店は大丈夫ですよ」ということをお客さんを呼ぶようなそういう行政、口で言うのは簡単なんだけど。
でも、確認もしないところでステッカーを出して、そこがかえって不信感が生じてしまったら、みんなもう国民も飲食店には行かなくなっちゃうから、今はちょっと東京も大阪もそういう状況になりつつあるんじゃないかなと心配ですね。

加藤綾子キャスター:
そこは篠原さん橋下さんの意見を参考にしてもらいたいですよね。
やきとん大王 赤羽店 篠原裕明店長:
そうですね、ありがとうございます。
(「Live News it!」8月17日放送分より)