長崎がモデルのアニメ映画「きみの色」が8月末に公開されるのを前に、山田尚子監督が作品にちなんだ場所がある長崎・佐世保市を訪れた。長崎の魅力、作品への想いを語った。

長崎の景色と心を描いた作品

アニメーション映画監督の山田尚子さんは、全国16都市での映画のプロモーションの一環で長崎を訪れ、佐世保市にある国登録有形文化財・市民文化ホール(旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館)にも足を運んだ。

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この場所も作品のモデルになっていて、重要なシーンで描かれている。監督にとって「思い出の場所」だ。

作品のモデルになった国登録有形文化財・市民文化ホール(旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館)
作品のモデルになった国登録有形文化財・市民文化ホール(旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館)

山田尚子監督:ロケハンの時に素敵な建物でたまたま中に入った場所。奇跡的な出会いで、建物に恋してしまった。久しぶりに足を踏み入れると、今は作品の中の世界のままだと不思議な気持ちになった。

映画「きみの色」は、オリジナルのアニメ作品。人が「色」で見える能力を持つ少女が、言い出せない秘密を抱えながらバンド活動を通して仲間と向き合っていく青春ストーリー。

佐世保をはじめ、長崎や新上五島町、五島市でロケーションハンティングを行い、ストーリーに絡んでくる「教会」もたくさん見て回った。

 
 

山田尚子監督:長崎は山が近い、坂があってどこを切り取っても絵になる。少し目線を先にした時に坂があるのは自分の生活圏(京都出身)ではなかったので魅力的で、たくさん写真を撮りたくなった。長崎の街をロケハンして出会った人達の温かい人柄を感じた。景色だけでなく心の部分も映画の中にお借りして描かせていただいた。

「色」と「音」に込めた想い

作品は「色」と「音楽」がテーマとなっている。監督にとっての「色」と「音」とは。

山田尚子監督:色は光があることで成り立つ現象。色を感じることで居心地がいい気持ちになったり不安にもなり、感情を揺さぶるものというイメージ。さらに音を通して、言葉がなくても人と人とが分かり合えるし、共感し合える。言葉にしてしまったことでこぼれ落ちてしまう感覚的なこと、表現できない感情などをセリフではなくて音で表現したくて作品にこめた。

映画「きみの色」は2024年6月に上海の映画祭で先行上映され、第26回上海国際映画祭金爵賞アニメーション部門で最優秀作品賞を受賞している話題作。日本では8月30日に公開される。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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