父がつくったおいしいコメを多くの人に食べて欲しい…その思いから、三姉妹がオープンした「おにぎり専門店」が人気を集めている。
三姉妹が力を合わせたおにぎり専門店
丸岡城の麓にある、おにぎり専門店「Sanshimai」(福井・坂井市)。カフェのようなおしゃれな店内には、バラエティーに富んだ約20種類のおにぎりがディスプレイされている。
この記事の画像(10枚)イートインを利用する常連客は「全種類制覇しようとしてるんです。おコメがふっくらしてるのと、味が本当に美味しい」と太鼓判を押す。
2年前のオープンから今では人気店となり、朝は出勤や通学前におにぎりを買う人たちでにぎわう。鮭や昆布、混ぜごはんなど定番の具材はもちろん「へしこ」や「ソースカツ」など、福井の食材を使ったものや、枝豆とコーンなど、季節の食材を使った期間限定のものも並ぶ。
「Sanshimai」はその名の通り、三姉妹で切り盛りしている。長女の南出帆摘さんが“リーダー”を務め、店の発起人でもある次女の知葉さんはデザインを担当。三女の芽里さんは店のオープンにあたり、東京のおにぎり専門店で1年間修業を積んだ。
「Sanshimai」で提供しているおにぎりの美味しさの秘密について、三女の芽里さんは「炊き上がりの時から粒が一つ一つ立っているのが特徴なので、外側をしっかり握っても、中のおコメはつぶれないようにしている」と話す。
天皇献上米に選抜された南出家のコメ
三姉妹がおにぎり専門店を始めたにのは、「おコメ」への強い思いがあった。次女の知葉さんは「小さい頃から祖父と父のおコメで育ってきて、家のおコメがすごくおいしいと感じてきたので、その美味しいおコメを皆さんにぜひ食べてもらいたと思った」と出店の理由を語る。
代々コメ作りをしている南出家。祖父・俊昭さんが作ったコメは、7年前の新嘗祭(にいなめさい)で天皇に献上された。現在コメ作りを受け継いでいる父・俊生さんは「タネから育苗、田植えと、一からつくっている」と話す。
自分の育てたコメを娘たちが商品化し、販売することに対しては「うれしさと責任感がある。ずっとお店を続けてくれたら」とうれしそうに話す。
「ごめん」と言えない三姉妹 愛と絆
今では大勢の客でにぎわっているが、時には姉妹ならではの衝突もあったという。長女の帆摘さんは「衝突してけんか腰にはなるけれど思いを伝えて…。なかなか『ごめん』とは言えないので態度で示して謝っている」と話す。
それでも「父の美味しいおコメをたくさんの人に食べてもらいたい」という共通の思いが三姉妹を突き動かした。
次女・知葉さんは「このお店を良くしようとする気持ちは一緒なので、助け合いながらやってきた」と話し、三女・芽里さんも「一人では何もできなかったから、姉二人が心の支え。普段は言わないけど感謝しています」と胸の内を明かしてくれた。
「私の家のおコメが一番おいしいと思っているので、たくさんの人に食べてほしい」と話すリーダー・帆摘さん。
福井の豊かな自然の中で、南出家が代々受け継いできた自慢のコメで、三姉妹が愛情を込めて握るおにぎりは、きょうも客のお腹と心を満たしている。
(福井テレビ)